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新たなビジネスモデル創出へ向けて

CFKは、3次元技術を用いた先進的な取り組みで、設計ミスを未然に防ぎ、設計品質を大幅に向上するとともにブランド力の強化と新たなビジネスモデルの創出を図ろうとしていた。将来にわたり安定したビジネス基盤を築くことを目的に2007年「ブルーオーシャンプロジェクト」を社内に発足。“技術の安売り”傾向が続くなか、技術提案力で優劣が決定する設計プロポーザル方式が、公共事業に導入されたことをチャンスと捉えてのことだ。そこで注目されたのが3次元技術だ。

当時代表取締役社長として3次元設計導入の旗振り役を務めた弊社相談役 永野 光三(以下、永野)はその意義を次のように語る。「これまで3次元技術は、パース画の作成に代表されるように、設計プロセスの最終段階における顧客へのプレゼンテーションなどで導入が進められてきました。しかし3次元技術を設計の全プロセスに取り入れることで、業務の大幅な効率化を図ることも可能です。例えば、これまで鉄道駅の設計では、建築、土木、設備など、異なる分野のスタッフがそれぞれ個別に図面を作成してきました。しかし3次元プラットフォームというべきものがあれば、異分野の技術者が情報を共有しながら、スムーズに設計業務を行うことも可能になります」。それだけでない。例えば、発注者や地域住民も、3次元プラットフォームにより、分かりやすくリアルなモデルで工事進捗状況や完成後イメージを簡単に確認できるようになる。他社に先駆けて今から取り組むことで、“3次元のCFK”として確たるブランドを築くことを目指したのだ。

地形・道路・橋梁・設備・地下埋設物などを統合した3次元プラットホーム構築にも積極的に取り組む

3次元CAD活用のハードルを超えるために

3次元技術を導入する設計会社やコンサルティング会社は少なくない。CFKが他社と違ったのは、トップの力強いリーダーシップのもと、全社を挙げて導入が図られた点だ。取り組みの第一歩として、5年ほど前に土木・設計CAD『AutoCADCivil 3D』を一気に30ライセンス導入。本社をはじめ全国の主要拠点に配備した。だが実際は、2次元CADとして利用するケースが多く、3次元CADの活用は思うように進まなかった。3次元設計に対する社内の理解が深まっていなかったことがその理由だ。そこで2007年、社内に「設計高度化ワーキンググループ」を立ち上げ、3次元技術導入に向けた組織としての取り組みをスタートさせた。

利用メリットを社内PR

「そもそも、発注者側からは3次元設計は求められていません。公共事業などのプロジェクトで設計した成果物は、電子納品要領に基づいて、2次元のフォーマットで納品しなければならないからです。それにもかかわらず、『なぜ、わざわざ3次元設計を行う必要があるのか』と、当初は社内からの反発もありました。しかし、3次元設計を行えば、各部門間の打合せもスムーズに運び、細かな照査が行えることで設計ミスの防止にもつながります。従来の2次元設計では、平面図や縦断図、横断図などを別々に作図するため、修正漏れのリスクが高く、設計変更時の手間も膨大になります。一方、3次元設計では、各部位の変更は、リアルタイムに全体(平面図・縦断図・横断図など)に反映されるため、その問題点を解消できます。ワーキンググループは、そのような3次元設計のメリットについて広く啓発することから始まりました」と事業開発本部新規事業グループ 統括リーダーの森博昭(以下、森)。

運用教育サポート体制

操作教育のサポートは、当初、ITベンダー大塚商会の『AutoCAD企業研修パック』を利用して3カ月間に延べ50名が受講。さらにeラーニングASPサービス『CADショートラーニング』の活用で社員が昼休みや就業時間後に自主的に3次元CADを学べる環境を整えた。こうしたことがきっかけとなり、社内で3次元CADを活用する機運が急速に高まっていった。

事業開発本部新規事業グループ 統括リーダー 森博昭

首都高速道路株式会社「高速川崎線」。複雑な地下構造物の3次元モデルを作成し、走行シミュレーション等に活用した

実案件でのチャレンジこそが、生きたノウハウに

いよいよ3次元設計を行う機会が訪れた。複雑な構造物を3次元設計し、作業の効率化を図るというプロポーザルが2008年に採用されたのだ。そのとき「机上の勉強よりも、実案件にパイロットモデルとして取り組むことで、生きたノウハウが蓄積できるはず。困難は承知の上で、ぜひチャレンジしよう」

と後押しをしたのは社長の永野だった。実際の業務では、たとえ困難な状況に直面しても、途中で投げ出すことは許されない――。「3次元設計の最も効果的なトレーニング方法は、実務で経験を積むことです。実案件へのチャレンジがなければ、我々は未だに勉強を続けていたと思います」と永野は語る。

実案件で得たノウハウをもとに同社は2009年、「3次元設計技術交流会」を発足。事業開発本部の新規事業グループが旗振り役となり、次のスローガンに掲げ、全社規模での3次元設計の啓蒙活動を始めた。

  • 備える(3次元CAD技術の蓄積)
  • 高める(実案件ベースによるスキルアップ)
  • 広める(3次元CADの操作技術者の養成、マネージャー層の教育・意識改革)

交流会では各部門技術者を集め、実案件の取り組みを詳しく紹介した。それは「3次元CADを活用すれば、こういうこともできるのか」という各部門の技術者の“気づき”につながったのだ。

2010年には、「3次元設計プロジェクトミーティング」へと名称変更各部門長をコアメンバーに据えた組織に移行。実案件をベースにした3次元の実践的な活用方法やプロポーザル案件の提案ポイントなどの全社共有化を図っていった。運用ノウハウについても「すべて3次元で行うのではなく、必要な部分だけを3次元で設計するなど、2次元設計とうまく使い分けることも重要です。実案件を通して、そうしたノウハウを蓄積できたことも、3次元活用が社内に浸透した大きな要因のひとつだと思います」と事業開発本部 新規事業グループ 主任 工藤 新一(以下、工藤)。

事業開発本部 新規事業グループ 主任 工藤 新一

本社3Fの3Dスクエアは、社内ヘルプデスクでありサポートの拠点だ

3次元CADを徹底的に使いこなすための環境が「3Dスクエア」

事業開発本部の新規事業グループ内に、「3Dスクエア」という3次元設計のサポート拠点を設置。ハイスペックなワークステーションを社員が自由に使える環境を整えると同時に、ヘルプデスクとしての役割をも担う。「研修だけではわからない3次元CADの細かな操作方法やプロポーザル案件の提案方法など、いつでも相談に応じています。『AutoCAD Civil3D』の端末も4台配備してあるので、実案件の設計を行いながら、わからない点をその場ですぐに聞くこともできます」(工藤)

また、3次元モデルがよりリアルに見える3Dプロジェクタも導入。社内会議でプロジェクトの進捗状況を確認したり、施主へのプレゼンテーションを行ったりと効果的に活用している。「3次元設計導入の最大の効果は、設計ミスを防げるようになったことです。実際に設計段階でミスが見つかり、早期に対処したことで事なきを得たケースもあります。特に建設業界では、設計ミスは指名停止に直結する致命傷です。3次元設計は、事前の検証で設計ミスをチェックできるので、当社の設計品質の大幅な向上につながっています」(森)

現在、CFKでは全国の自治体等に向け、3次元プラットフォームの提案も積極的に進めている。道路や橋、地下埋設物なども含め、街全体を3次元モデルで統合管理することで、これまで個別に行っていた構造物の維持管理の効率化に貢献する3次元プラットフォームは、すでに一部自治体で採用されはじめている。業界内で高く評価されているこうした先進的取り組みが、CFKブランドの向上に確実につながっている。

3Dプロジェクタを活用することで、各設計分野間の打ち合わせもスムーズに進むようになった

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