維持管理

構造物の老いと向き合う

ヒトと同じように構造物も経年によって疲労や傷みを蓄積し、劣化します。構造物の現状を把握し、分析すること(点検診断)、現状に応じて構造物が長く使えるように方針を決め、シナリオを考えること(維持管理計画策定)、そのシナリオに沿って適切な時期に修繕すること(補修設計)により、構造物が少しでも長く丈夫であるように手を尽くします。

高度経済成長期に造られた構造物の多くは、50~60年近くの齢を重ねることで劣化が進み、そのまま使い続けることが危険なものがあることが分かってきました。それ以降に造られた構造物も、そのままでは同じ状況に陥ることになります。土木構造物においては、人的被害が出ていますので、現状のまま、手を拱いているわけにはいきません。そこで、構造物に応じた最善の方法を検討する、それが我々の役割です。

まず、構造物の状態を点検し、劣化程度を把握します。点検結果に基づいて、各部位、部材の劣化程度に基づいて診断を下します。ここまでの作業を「点検診断」と言い、ヒトで言うところの医者の診察にあたります。

医者は診断を下し、悪いところがあれば、治療の方針を決めます。我々も同じで、診断結果に基づいて、どのように維持管理していくかを決めます。シナリオとして、経過観察(定期点検継続)、こまめな手当て(小規模補修)、大掛かりな手当て(大規模補修や更新)の方針とそのタイミングを決めます。当然、構造物の重要度や費用、いつまで持たせるか(供用期間)について考慮する必要があります。このときには過去の補修実績、技術者としての知識、経験をもとに劣化の進行も予測します。この作業を「維持管理計画策定」と言い、構造物における治療のシナリオを示します。

医者は治療の方針が決まれば、経過観察、投薬、手術など具体的に治療を行います。我々も、補修が必要であれば、規模の大小に寄らず、具体的な工事に必要な「補修設計」を行います。こうして設計図面を完成させ、工事に繋げます。
最近では、知見を積み重ね、新規の構造物においても、劣化しにくい、維持管理しやすいものを設計しています。

主な事例

管内国有港湾施設の維持管理計画書作成業務

四国地方整備局管内の国有港湾施設に対して維持管理計画書の作成を行った。まず設計図書等の資料収集整理と施設現況の把握を目的とする現地調査を行った。調査結果に基づき、部材別に維持管理レベルを設定し、計画を策定した。また、劣化度判定結果に基づく総合評価を実施し、維持補修計画を加えて維持管理計画書としてとりまとめた。

発注者:国土交通省 四国地方整備局港湾空港部
完成年:2010

小松島港湾・空港整備事務所管内港湾施設老朽化点検調査

徳島小松島港における国有港湾施設の老朽化状況について点検調査を行うとともに、その結果に基づき、維持管理計画書修正と予備設計を行った。予備設計では、劣化進展の著しい桟橋上部工に対して、現況復旧を前提とする補修設計を行い、図面作成、概算数量算出、概算工費算出、概略施工検討を行った。

発注者:国土交通省四国地方整備局小松島港湾・空港整備事務所
完成年:2013

徳島小松島港金磯地区実施設計等業務

徳島小松島港金磯地区岸壁(-11m)の改良に係る詳細調査及び実施設計を行った。まず、桟橋を対象に行った調査結果および別途実施した波浪変形計算、液状化予測判定結果も踏まえて安定性の照査を実施した。結果として、施工性、維持管理性を考慮すると、上部工の全撤去・更新が現実的であったため、工事のための補修設計を行った。

発注者:国土交通省四国地方整備局小松島港湾・空港整備事務所
完成年:2016

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