波の力を知る
港湾・空港分野では、港湾や海岸に襲来する波浪、津波、高潮の解析を行っています。これらの解析結果は、港湾の防波堤や空港護岸、海岸堤防等の設計、沿岸域のハザードマップ作成における基礎情報として利用されます。
港湾や海岸の施設は常に波の作用を受けます。これらの波は遥か洋上の深海域で発生・発達し、沿岸域で種々の原因により変形しながら港湾まで伝播します。このため、港湾や海岸の施設を設計するためには、遠く離れた波源域からの波の伝播、沿岸域での波の変形等を予測計算する必要があります。
CFKでは、高波・津波・高潮といった波の性質や、耐波設計・港内静穏度解析といった設計の目的により様々な解析法を使い分け、或いは連成させながら波浪変形計算を行っています。
例えば、津波シミュレーションでは広域での波の伝播と局所的な波の遡上の両方を同時に計算する必要があるため、非線形長波理論に基づいた平面二次元の波浪変形計算を行います。また、高波による護岸越波の計算では、複雑な水面の変化や飛沫を表現するためVOF法に基づく数値波動水路を適用します。これらの波浪変形計算は、各種施設の設計における波浪条件やハザードマップ作成における潮位条件といった基礎情報として利用されます。
主な事例
東北沖地震津波に関する解析業務
高知県須崎港において、東北地方太平洋沖地震津波の再現計算を行うとともに、進行中の防潮堤整備計画が津波に対してどの程度の効果を発揮するか検討した業務です。須崎港の津波浸水の痕跡を調査し、津波シミュレーションにより津波を再現、防潮堤の整備段階や湾口防波堤の有無に伴う後背地の浸水状況の変化を評価しました。
発注者：国土交通省 四国地方整備局 高知港湾・空港整備事務所
完成年：2011
漁港施設機能強化事業 概略設計業務委託
福井県越前漁港において、防波堤の外力条件の増大を踏まえた施設の機能診断を行いました。防波堤や港口付近までの波浪推算はエネルギー平衡方程式、港内の静穏度は高山法により計算し、機能不足とされた施設に対しては改良断面の検討や防波堤の延長検討を行いました。
発注者：福井県 越前漁港事務所
完成年：2015
平成25年度 防災点検業務
和歌山県印南町および串本町において、越波による通行規制の頻度低減を目的として越波防止柵の設計を行いました。この業務では、越波柵に作用する波力や護岸背面への越波を高精度に再現するため、VOF法に基づく数値波動水路を用いて波浪変形計算を行いました。
発注者：国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所
完成年：2014
