育成のCFK ~若手社員研修~

カープから学ぶ育成の重要性

角田 裕一
KAKUTA Yuichi
道路系部門
トンネルグループ

CFKは、若手社員の育成に力を入れています。入社1年目の社員を対象とした「新入社員研修」は、他の会社でも実施しているでしょう。CFKでは新入社員研修に加え、入社2~3年目の社員を対象とした「Take Off Meeting」と、入社4~5年目の社員を対象とした「Step Up Meeting」が用意されています(図1)。

育成の重要性は、私が愛するプロ野球・広島東洋カープより学ぶことができます。2017年、二年連続のセ・リーグ優勝を果たしたカープですが、この年の優勝の立役者となった田中選手、菊池選手、丸選手、安部選手、野村選手は、私と同じ1989年生まれの28歳です。他にも26歳の大瀬良選手、25歳の薮田選手、24歳の野間選手、23歳の鈴木選手、22歳の西川選手など、若手選手の活躍が目覚ましいです。FA補強でスター選手を招聘するのではなく毎年のように新しいスターを生み出すことから、マスコミからは「育成のカープ」と評されています。

今回は、CFKの若手社員研修について、入社5年目の私が受講者側の立場より、実際に研修中に受けたアドバイスを交えて紹介します。

1 CFKの若手社員研修

“ Take Off”と“Step Up”

Take Off Meetingは、発表担当に指名された若手社員が「従事した業務」を題材にして、業務内容と工夫した点をA4用紙1枚に取りまとめた資料を作成します。研修当日は、資料を基に10分間の口頭説明を行ったのち、質疑応答およびアドバイザーからの指導を受ける、といった研修です。

研修目的として「基礎的技術力の向上」が挙げられます。技術者になるうえでの基礎を学ぶ研修として位置づけられていることから、技術者として独り立ちするために飛び立つ=Take Offとして命名されています。

Step Up Meetingは、発表担当に指名された若手社員が「指定された特記仕様書」を題材として、業務目的、留意点、業務フロー、業務工程表をA4用紙3枚程度に取りまとめた資料を作成します。研修当日は、資料を基に15分間の口頭説明を行ったのち、質疑応答およびアドバイザーからの指導を受ける、といった研修です。

入社3年目くらいまでは、上司より与えられた作業を確実に履行しつつ、プロジェクトリーダーとして取り仕切る上司の姿を見ながら業務経験を積んでいく段階です。一人前の技術者になるためには、全体を把握し業務をどう進めるかを自ら考える資質が求められます。

本研修は主体的に考える力をつける訓練として位置づけられていることから、作業員から技術者への第一歩=Step Upとして命名されています。

社長がアドバイザー

CFKの若手社員研修には、発表する「受講者」として若手社員、指導する「アドバイザー」としてベテラン技術者が出席します。

アドバイザーは、計画、道路など各部門のスペシャリストであるベテラン技術者が担っていますが、社長もアドバイザーとして研修に出席しています(写真2)。百戦錬磨のベテラン技術者から直接厳しい指導を受けることができる貴重な機会であることが、CFKの若手社員研修の一番のウリです。

また、研修中の席配置は受講者とアドバイザーが対面するのではなく、ロの字型に机を並べて順不同で着席します。隣の席に社長が座り緊張することもありますが、座談会形式で自由に発言できるような仕組みが採られています(写真3)。

2 社長の隣に座る若手社員

スペシャリストによる多視点指導

日常の業務では、同じ部署の上司から「大断面トンネルにおける断面検討」のように専門的な内容について指導を受けていますが、その分野に関する一方向からの指導となります。

CFKの若手社員研修におけるアドバイザーからの指導は、各分野のスペシャリストであるからこその「多視点からの指導」であり、普段自分が気にしていないような視点からの指摘を受けることができ、非常に参考になります。

実際にあったアドバイスの一例としては「道路が計画された経緯を把握することで、施主から求められているポイントが分かる」といった指導がありました。「落石多発区間を回避するためのバイパス事業」であれば、新たな落石事故が発生しないよう「工期短縮」が求められているポイントとなります。

受けたアドバイスを参考にすることはもちろんのこと、自分自身も多視点で物事を見ることを心がけよう、という意識を改めて持つことができました。

3 ロの字型に机を並べて研修が開催される

第三者目線での基本的指導

前述のとおり、アドバイザーは各分野のスペシャリストですが、その一方で、全く設計手法を把握していない分野もあります。そのため、文字が羅列されているだけの配布資料や、拙い口頭説明だけでは、言いたいことが伝わらないことがあります。言い方は悪いですが「素人でも理解できる資料・説明」が求められます。CFKの若手社員研修では、配布資料の見栄えや口頭説明の仕方について、第三者目線での基本的なアドバイスも多く受けています。

実際にあったアドバイスの一例としては「単なる業務紹介に終始しており、工夫した点が読み取れない」「口頭説明で詳しく述べられていたが、配布資料に記載されていない」といった指導がありました。これらの指導は、管理技術者として完了検査やヒアリングに臨む際に意識すべき事項につながるので、若手社員のうちから意識して身に付けたいものです。

同年代へのライバル意識

ここまでアドバイザーからの指導による「技術力の向上」について述べてきましたが、CFKの若手社員研修の目的にはもう一つ、「同年代若手間の相互報告による切磋琢磨」があります。切磋琢磨することで相乗効果が生まれ、若手社員全体のレベルが上がることが望まれています。

普段、同年代の仲間と野球やゴルフで楽しんでいますが、部署が異なると仲間が仕事をしている一面を見ることは少なく、これらの研修は貴重な機会となっています。

研修にて他の若手社員の発表を見聞きすることで「あいつやるな。自分も負けてられるか!」というライバル意識が芽生えてきました。

失敗を糧に一人前の技術者になる

私が最も好きなプロ野球選手は、2017年限りで広島東洋カープの打撃コーチを退団することになった石井琢朗選手です。投手としてプロ入りしたが自らの意思で野手に転向し、走攻守三拍子揃ったプレイヤーとして活躍した日本球界を代表する選手です。

2016年からカープの一軍コーチに就任すると、2000本安打を放った自らの技術を惜しみなく伝授するとともに「3割しかヒットを打てないのが野球です。そうであれば、残り7割の凡退をチームのためにどう生かすかを考えよう」といった意識改革をはじめました。こうしたビジョンを明確にすることで、カープの若手選手は失敗を恐れずに積極的な姿勢を持てるようになったのです。

CFKの若手社員研修では褒められることは少なく、時には厳しい意見を頂戴することもあります。ただし、これはあくまでも研修であり、怒られることは失敗ではなく、次につながる犠打です。研修で受けたアドバイスを実際の業務に生かすことができれば、高い評価を得ることができます。

入社5年目の私は若手社員研修の全課程を修了しますが、これまで受けたアドバイスを糧にして、アドバイザーのような一人前の技術者になれるよう、引き続き精進していきたいと思います。

4 身振り手振りで説明する筆者
5 時には犠打も必要なのだ(写真は筆者)

※登場する野球選手の所属・肩書・年齢は執筆当時のものです

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