取締役
管理総務本部長
建設コンサルタントの草創期から創業70年余に及び、公共事業の調査・計画・設計に深くかかわってきたCFKにおいて、時代の移ろいを共に歩んできた貴重な物品にスポットを当て、往時の先輩諸兄の仕事ぶりや時代背景に想いを巡らせて貰えればと、OBを中心に預託いただいた思い出の物品を公開展示しています。
品目は「記憶媒体」「計測・測量機器」「製図・成果品作成機器」と多岐に及んでいますが、今回は「計算機器」にフォーカスして紹介いたします。
昭和を代表する計算用具
算盤（そろばん）
ご存知アナログの代表的な計算補助用具で、昭和中期まで、銀行や経理職に就く必須条件でした。町には珠算塾が多数存在し、学童が将来のためにと習得しました。
計算尺
同じアナログでも理系御用達の手動計算具で、対数原理を利用して乗除算，三角関数，対数，平方根，立方根の値を得ることができましたが、1965年代をピークに1975年代に製造が中止されました。
三角関数真数表・対数表
計算尺の読み取り値が概数のため、精度を求めるには三角関数真数表や対数表が不可欠でした。
用具から手動計算器へ
機械式計算器
わが社歌の一節、「リズムが冴える計算機」の逸品。商標「タイガー計算器」は、この型の代名詞となっています。掛ける数だけハンドルを回す音が、リズムを刻んでいました。創立時から1965年代後半まで使われましたが、この頃から小型電卓が発売され、自然と姿を消しました。
デンマーク製卓上計算器
写真5はデンマーク製の手動計算器でハンドルを回す代わりに、右部レバーを乗除する値の数だけ押して使用します。
電卓＝計算機の登場
卓上普通計算機
1965年頃に登場した電卓は、重量20kg超の大型で、当時は車1台相当の価格でした。写真6は、世界初のIC使用により小型化した企業向け製品で、機能は四則演算のみでした。
（1973年、価格12,800円 従来タイプの約1/3の価格、重量360g)
小型化と一般向けに
大阪万博開催頃から激化した電卓戦争で価格が急激に下落、個人で入手可能になりました。
技術分野で必要な計算機
関数電卓の登場
三角関数、対数など、科学・工学系の技術分野で必要な計算機能が備わった電卓の登場により、計算尺が駆逐され、対数表も不要になりました。
関数以外にも統計、60進計算等の機能を持ち、括弧処理ができ、通常の計算では加減算より乗除算を優先するようになっていました。
プログラム機能の付加
科学技術計算用のプログラム機能が備わったプリンター付き小型電卓。表示機能は、11桁液晶部と3桁の指数表示部からなり、指数部はプログラムの入力やステップ表示を兼ねていました。
電卓はさらなる進化へ
ポケコンの普及
関数電卓とプログラム電卓はさらに進化して、ポケットコンピュータの普及に至りました。ポケットコンピュータは QWERTY配列キーボード（現在のパソコン等のデファクトスタンダード）を搭載し、BASIC の使用が可能となったため、より容易にプログラミングできた結果、PCが普及するまで、大いに活躍しました。
（左： ディスクドライブ、右：プリンター）
ポケットコンピューターの附属品
番外：コンピュータ利用
草創期の電算機利用
CFKの電算機利用は1960年に遡ります。当時まだ国内に電子計算機はなく、リレー式計算機（即ち2進法による計算機）を用いてボックス・ラーメンの構造解析等を行っていました。2年後、初の国産電子計算機が登場しますが、業務での活用は、すべて社外計算センターへの委託でした。
センターの直接利用
本社を自社ビルとした1971年から、電電公社のDEMOSシステムに加入、JIPのホストコンピュータとも接続し、CFKのユーザーが直接利用する形態となりました。
汎用機の活用
1987年に中型ホストコンピュータ（ACOS）を導入し、処理能力を大幅に増強し、ほとんどの業務を自前で処理可能となりました。
PCの普及・1人1台に
ホストコンピュータ導入と並行してCADの導入が進められ、元号が改まって本格的にLAN構築と併せて個々にPCを配置、CADの普及とオフィスソフトの標準装備によって、計算機能も含めた業務処理がPCに集約一元化されました。
