
川に落ちてフォーリンラブ
高校卒業後、千葉から京都へ進学しました。どんなサークル・部活に入るかを決めるため、そしてご飯をおごってもらうために、色々な団体の新入生歓迎会に参加しました。ある日、偶然カヌー部の歓迎会に参加し、週末に滋賀県で開かれるカヌー体験会に誘われました。入部する気はなかったのですが、試しに参加することにしました。
体験会では、まずレジャー用の船でカヌーを楽しみ、最後に実際の競技で使う艇にも挑戦します。
カヌー部では「カヌースプリント」という、流れのない静水上で決められた距離を漕ぎ、着順を競う競技をしていました。スピードを追求した競技用の艇はレジャー用とは異なり、幅が狭くバランスが悪いです。先輩部員は簡単に乗りこなしているように見えましたが、私が乗り込むと次の瞬間には艇がひっくり返ってしまい、川に投げ出されました。何度か挑戦させてもらいましたが全く歯が立たず、乗れるようになりたいと思い、すぐに入部を決めました。
まずは友達から

まずはレースで漕ぐ距離(500m)を転覆せずに漕ぎ切ることが目標となります。しかし、そもそも岸から離れることすらできないのです。先輩たちがコツを色々教えてくれますが、大して参考にはなりません。何度も落ちながら挑戦を続けました。気づけば、岸から漕ぎ出し川の真ん中で転覆するようになっていました。
練習を続けていると500mを漕ぎ切れるようになり、夏には大会にも出場しました。艇を自分の力で進ませる楽しさを感じるようにもなりました。
長く苦しい片思い
カヌーは、一見すると腕や上半身のみを使って漕いでいるように見えますが、速く漕ぐためには足の力をうまく使うことがとても重要です。しかし、私にはそれがなかなかできません。先輩部員だけでなく他大学のトップ選手も質問責めにしてアドバイスを乞うのですが、なかなか感覚をつかめません。インターネットで世界のトップ選手の動画を見て研究しつつ、とにかく練習をしました。頭で考えてもよくわからないので、ただひたすら漕ぎ込み距離を稼ぎました。
ついに成就

3年目の冬のある日、その頃よく動画で見ていたハンガリーのトップ選手の漕ぎをイメージしながら練習していると、足の力をうまく使って漕ぐことができました。一漕ぎごとに艇がぐんぐん前へ進みます。艇と一体化して水面を飛びながら進んでいるようで、びっくりするほど気持ちが良かったです。
それからは一層漕ぐのが楽しくなり、一生懸命練習をしました。500mなどの短距離レースでは“そこそこ”の成績でしたが、10㎞以上の長距離レースでは世界大会に出場するなど、カヌーを通じて貴重な経験を得ることができました。
失恋、新しい関係へ
4年生の夏にカヌー部を引退してからも部の艇を借りて漕ぐことがありましたが、体力と筋力が衰えて以前のような艇との一体感・浮遊感はなくなってしまいました。一方で、旅先でレジャーカヤックやSUPに挑戦したりして、水を掴んで進むカヌーの楽しさを再認識しました。
コロナ禍で部の艇を借りることが難しい状況となり、一層カヌーから遠ざかってしまいましたが、社会人になりお給料をもらえるようになったので、早くお金を貯めて自分の艇を購入し、またカヌーを楽しみたいと思います。

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