多様な視点を育む

生物多様性を育む棚田(和歌山県那智勝浦町色川地区)

今年度、‘本質を極める’をスローガンとした新たな中期経営計画を発表しました。全社一丸となってプロジェクトの本質を見極めようとする意識を持ち、他社と一線を画するレベルまでの「質の向上」を目指します。こうした取組における議論を行う際に、それぞれの立場で視点が異なり、様々な意見や提案が交わされます。これは総合コンサルタントとしてのCFKの強みであり、各立場の視点を尊重することで、CFK全体としての技術力の総和が高まることにつながるものと信じています。ここでは、私自身の経験を踏まえ多様な視点についてふれてみます。

協働から学ぶ

施工時の地盤や構造物を計測管理する部署に十年余り配属されていたことがあります。そこで、シールド掘進、大規模開削など様々な工法における施工時挙動をシミュレーションし、実際に計測を行いました。設計上評価しきれなかった要素を抽出し、設計との差異を考察することは、施工時の外力、地盤特性など不確実性を理解するのに大いに役立ちました。また、安全管理上の計測管理基準値に迫る挙動が発生することも少なくなく、施工者側と対処方法について見解が異なり、緊迫した協議となることもありました。我々の提案が絵に描いた餅とならないために、施工機器の能力、材料調達、全体施工工程等への理解を深め、施工者と‘協働’し実効的な対処方法を探ることに努めました。こうした経験を経て、設計計算には反映できない、設計上の配慮に対し考えが深まったと思います。

設計した案件が、どのような応力や変位が発生したか情報を得る機会があれば、設計との差異を皆さんにも検証することをお勧めします。類似する設計の配慮事項となる新たな知見を見出す可能性があります。

相乗効果を生む

40才を過ぎて、これまでの経歴とは異なる港湾設計に携わる部署へ異動となりました。一からの習得で、既在籍の技術者の方には、私からの終わらぬ質問に時間を惜しまず対応していただきました。受入れ側も非常に労力を費やされたと思います。最初の頃のプロポーザルにおける技術提案は、当然、散々な結果でした。ある程度、実績を積むに従い、私自身が培った経験を活かせる場面も出てくるようになりました。プロポーザル特定に至った案件の内容を振り返ると、得意とする地盤解析や計測管理が係わった設計が多かったように思います。異なる経験をもつ技術者が机を並べ、日々技術的な議論を重ねる中で‘相乗効果’を発揮し、他社を上回る提案につながったものと考えています。

技術競争を勝ち抜くために、複数の視点がお互いを理解し、単なる足し算に終わらせるのではなく、さらに新たな付加価値を生み出すことが肝要です。

自由な発想で

最近、河川、環境やエネルギーに関する計画に関連したことに携わることが増えてきました。将来ビジョンをイメージし、あるべき姿へのアプローチを思考していくことが大事です。これまで、目の前に迫りくる課題を処理することばかり追われていたようで、バックキャスティング的思考は不得手、これからトレーニングして新たな視点での思考力を高めていく必要があります。ただ、年齢を重ねると固定観念が強くなり頭が固くなるといわれますが、主観的には、そこは否定したいです。これまでの経験が、多様なアイディアを生み出し、‘自由な発想’で取り組めそうな気がしています。

建設コンサルタント業界に目を向けると、少子高齢化への対応をはじめ、国土強靭化、維持管理、建設DX、カーボンニュートラル、グリーンインフラ等、多様な分野への取組が喫緊の課題として迫られています。

上記課題への取組には、単一の専門技術だけでは困難であり、複合的な技術、土木以外の技術も取り込んだ‘相乗効果’を生む創造的協力が不可欠です。併せてトータルでコーディネートできる能力を身に着けた技術者の育成も求められます。そのためにも、異なる分野の方々と‘自由な発想’で幅広い議論を重ね‘協働’し、多様な視点を育んでいければと考えています。

中野 尊之
NALANO Takayuki
環境・防災系部門
ゼネラルマネージャー

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