未来のマネジメント

マネジメントという言葉が巷にあふれています。業務マネジメント、組織マネジメント、チームマネジメントという我々が業務を遂行する上での言葉にとどまらず、エリアマネジメント、都市マネジメントといった空間や場所をマネジメントしようという言葉など、枚挙にいとまがありません。ここでは、未来においてマネジメントがどのように変革するのか、我々に何が必要になるのか、建設コンサルタントに関わる建設事業を対象に考えます。

効率化が進む事業マネジメント

上田 隆 UEDA Takashi
常務取締役
総合技術本部長

デジタルニューディールの名のもとにデジタル化に集中投資すると政府が打ち出しています。10年かかる変革を一気に進めるというのです。そして、管理するインフラストックが増大することも周知の事実です。今後の建設生産・管理システムは、効率化のためにデジタル化が急速に進むはずです。

図1は、国土交通省が考える建設生産・管理システムの将来像です。“生成・加工・活用・廃棄まで一貫したデータマネジメント”の時代になります。通信システムが5Gになり、すでに6Gの声も聞かれるICT技術の進化スピードを思うと、一貫したデータマネジメントの20年後、30年後は、想像を超えるものになるのでしょう。

たとえば、プロジェクト管理は、工程表を作って管理する工程管理をAIがやってくれることになります。様々な要因が絡み合う施工計画や工程表づくりは、これまでルーチン化できない複雑な作業でしたが、ビッグデータを処理できれば、きっとルーチン化が可能となります。すでに将棋や囲碁に勝てるようになったAIにとって、工程管理は同じようなものという気がします。どの工程を優先すべきか、短縮できる工程はないかなどの分析や意思決定までもやってしまうかもしれません。

  図1 建設生産・管理システムの将来像(10年後)1)

携わる範囲の拡大

事業マネジメントは、一貫したデータマネジメントによって効率化を目指します。一気通貫で途切れなくデータが流通する場合に、建設コンサルタントはどの範囲を担うことになるのでしょうか。おそらく、境界はあいまいになっていくでしょう。あいまいな境界は、建設コンサルタントにとって多様性が武器になるということです。自分の専門を調査だの設計だのと制限するのではなく、施工や積算なども含めて、積極的に範囲を広げていく働き方でないと競争に勝てない時代がやってきます。それは技術者個人にも当てはまることです。

ちなみに、我々はAIがビッグデータを処理して出した答えについて、理由が理解できないかもしれません。AIのブラックボックス化が実際の問題になります。マネジメントの中の作業的部分は、工程管理だけでなくコスト管理や労務管理も機械やAIがやってくれ、それはブラックボックスなのかもしれません。ただ、ブラックボックスを超えたところに我々の存在意義があります。

求められる「高度なマネジメント能力」

 図2 事業促進PPPで求められる役割 2)

マネジメント能力を証明する資格が設置されるでしょう。その資格がないとマネジメント業務ができない職業資格となる可能性もあります。図2は事業促進PPPで受注者に求められる役割の例ですが、こういった役割を果たせるかどうかを資格でもって証明しなければならない時代が、すぐそこに来ています。

能力の中でも調整能力を必要とする仕事は、重要で高度なものの一つです。ホスピタリティがものをいう仕事、臨機応変が求められる仕事といってもいいでしょう。将棋を指すAIは、周りで何が起ころうと将棋を指し続けるしかできないのです。

企業としては、マネジメント能力育成のために、フィードバックを継続する機能を構築しなければなりません。企業における人材育成は、年に一回か二回程度のフィードバックが普通でしょう。ICT技術の進化スピードについていくには、常に改善する機会を確保する仕組みが必要です。ただし、自らキャリア形成を行う意識が大切であることはもちろんです。

複雑化するマネジメントに必要なもの

 図3 必要となる能力

調整などのマネジメントには、複雑な思考が必要です。物事には様々な要因があり、混じりあうとどうなるのか、関係はどうなっているのか、といったことを考えるのは容易ではありません。

対応するには、問題発見能力が必要です。データを見ているだけでは何も始まりません。データを使うことが大事です。データを分析する力、データが示すところを洞察する力が必要となります。そしてもう一つがややもすればきりがない分析・洞察を割り切って決断する力でしょう。分析し洞察する力と決断する力のバランスをいかにとるかがコンサルタントの技術力の一つともいえるのです(図3)。

マネジメントの本質は人間臭いところにあります。人を通じて仕事をするという面が大きいからです。さらに、コロナ禍でわかったことの一つとして、我々は人間的な関わり、つながりを思った以上に欲している、ということです。だとすればAIやロボットが席関する社会になったとしても、建設コンサルタントとしてマネジメントする役割が必ず存在するのだと思います。

将来の我々に何が必要になるのか、という問いに明確に答えることは難しいです。自らの得意なことを活かしながら、どのような役割を果たすべきなのか、常に考えていたいです。議論を戦わせること、真剣勝負です。

【参考資料】
1) 発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇親会資料 令和3年1月 国土交通省
2) 国土交通省直轄の事業促進PPPに関するガイドライン 平成31年3月(令和3年3月一部改正) 国土交通省

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