座談会 「中期経営計画」に想う

座長:澤野 嘉延

常務取締役 東京本社長
入社年次:1989年(平成元年)

中原 正人

鉄道グループ チームリーダー
入社年次:1999年(平成11年)

吉田 晋暢

地下構造グループ 統括リーダー
入社年次:2001年(平成13年)

和田 翔

事業創生グループ サブリーダー
入社年次:2010年(平成22年)

塩谷 歩未

環境グループ サブリーダー
入社年次:2012年(平成24年)

河原 知樹

道路第一グループ 主任
入社年次:2016年(平成28年)

はじめに

2022年6月、CFKでは2022年から2024年までの3年間を期間とする中期経営計画をとりまとめました。この計画では、「本質を極める」と題し、他者と一線を画し、真に求められる技術者集団、価値創造企業を目指して、ビジョン(中長期的な視点も含む)、定量目標、基本方針、重点施策(全社的な重点アクションプラン)を示しました。

これを機に、部門や年代の異なるメンバーが集まり、中期経営計画への想いを座談会形式で語り合いました。

建設コンサルタントとして、我々には何が求められるのか

澤野:中期経営計画って、なぜ必要だと思いますか。会社にとって大切なことは「志」を社員で共有することだと思う。売上や利益目標を共有するだけでは、会社って、おかしくなってしまう。会社すなわち集団とは、そういうもので、共有すべき「志」を「 今、すべきこと」など具体的に落とし込んだものが中期経営計画だと理解している。この中期経営計画に関して感じたことなど、何でも良いので発言してほしい。

塩谷:今回の中期経営計画では、スペシャリストの重要性とともに、複数分野の技術力を有するゼネラリストの必要性に言及されている。今の新入社員の研修発表などを聞く限りでは、あまりゼネラリストを目指す風潮にないように思う。客先との信頼関係を築くと、自分の専門外の話についても問合せされることがある。その際に少しでもその場で受け答えできると、より信頼を得られるのではないかと思っており、複数分野の技術力を持っておくことは大事だと認識している。

吉田:私が入社した時は「T型」ではなく「π型」の人材ということを求められた。言い方も変わり、求められる内容も変わっているように思う。

河原:ゼネラリストの重要性を認識しているが、複数分野における一定水準以上の技術を求められており、実際にゼネラリストになるにはハードルが高いと思う。

和田:今回の中期経営計画の中では、ゼネラリストだけでなく、スペシャリストの重要性が改めて見直されているようにも感じられた。

吉田:中期経営計画では、「100人に1人の技術力を持つスペシャリスト」あるいは「10人に1人の技術力を複数分野で有するゼネラリスト」が今後求められる人材の具体的な例として明記されている。サラッと書いてあるが、会社はとてもハイレベルなことを求めてきたと思う。社内の環境だけだと求められるレベルに到達できないのではないか。

本質を目指して

吉田:今回の中期経営計画では、「本質を極める」がキーワードとなっている。“本質”とは何か。“本質”の捉え方は人それぞれと思われ、皆さんが考える“本質”について教えてほしい。

中原:“見極める”ではなく、“極める”というところにも特徴を感じる。

澤野:私は、「本質を極める」の後の「実行」が重要だと思っていて、中期経営計画に書かれている「未来を支える良質なプロジェクトを能動的に実現させる」が気に入っている。これが先に言った「志」だと思う。その「志」を実現するために、「本質を極める」とか「プロジェクト志向」があるのではないか。

吉田:前中期経営計画の「プロジェクト志向」と同じベクトルの先に「本質を極める」があると思う。「本質を極める」というマインドには色々な解釈がある。“本質”のイメージが人によって違うことは当たり前だが、会社・チームで行動する際には統一性を持たすことも必要だと思う。

和田:“本質”というのはそもそも言語化できるのか。私が所属する計画系部門では、「本質を極める」ことの1つのアプローチとして“ギャップを埋める”ということが示されていて共感した。ここでいうとギャップとは、「今の自分」と「目指すべき人物像」かもしれないし、大きく捉えれば「現在の日本」と「将来の日本」かもしれない。ギャップにはいろいろとあると思うが、そのギャップを埋めるために何ができるかを考えていくことが「本質を極める」道筋の一つではないかと感じている。一方で、ギャップを埋めるプロセスを経て得た“本質”というのは、表現しにくいものだと思う。私としては、自分ができる最大限のことを発揮していくことが“本質”そのものだと捉えている。

吉田:「本質を極める」の言葉の前に、例えば、「コンサルタントとして」などの枕詞をつけて考えていた。その枕詞の付け方で考え方も変わるだろう。

和田:枕詞だけでなく、ギャップの捉え方や規模感に加え、そもそもギャップの認知も人によって変わってくる。

吉田:人それぞれ立場や考え方が違う中で、目的や目指す姿が大事になる。そこが一緒であれば、おおよそ同じ方向に向かっていけるのだろう。

塩谷:“コンサルタントとしての本質”とは何かを考えたとき、それは顧客が抱える課題を解決する力だと思う。ただ、課題・ニーズとは、必ずしも表面化されているものではなく、顧客自身もはっきりと分かっていない場合もある。そういった課題を見極めて、解決策を提案するし、課題を解決することが本質であり、技術力だと捉えている。

中原:そういった姿勢が価値創造企業という言葉につながっていく。

澤野:顧客から見れば、我々はプロフェッショナルでありエンジニアである。「本質を極める」は、そのための前提条件であり、そのような仕事をしていることに我々は誇りを持って良いと思う。

真に求められる技術者集団として

澤野:「本質を極める」の副題として、「個人」ではなく、「技術者集団」とか「価値創造企業」を目指すとあるが、これについてはどう捉えるか。

河原:“企業”としての質の向上とは具体的にどういうことなのか、あまり考えたことがなかった。質の高い“個人”の集まりが、すなわち質の高い“企業”ではないと思う。“企業”には“企業”なりの質や本質があるように思う。

吉田:一人の技術者にできることは限られていると思う。自分の周りには、社内の上司や部下だけでなく、社外にも協力してくれる人がたくさんいる。これらが有機的につながらないと、個々が頑張っていても、みんなにとってより良いものができない。

澤野:我々の仕事は、一人では出来ない仕事である。何百億円、何千億円にも及ぶ事業もある。美容師なら一人でプロフェッショナルとして本質を極めることができる。でも、我々は違う。社内だけでなく、顧客や地域住民をはじめ多くの関係者を巻き込み一緒に考え、作り上げていかなければいけない。その役割が求められている。

吉田:我々の仕事には、複数の部署が横断的に関わるプロジェクトも多い。これらのケースでは、異なる部署の間で共通の認識がないとうまく仕事が進まない。

和田:プロジェクトが始動する際には、キックオフとなるミーティングを行って、メンバーがイメージするゴールをすり合わせるステップが大事だと思う。その点、CFKは集団、チームとして意識は高いと思う。

中原:同じ会社とはいえ、やはり専門とするフィールドごとに違う文化や言語があると思う。最初にゴールを共有することが大事だと思う。そのために、「メタリーダーシップ」という意識改革が必要なのだと思う。

吉田:そういったスタートがないと、“集団”として有機的な取組みにはなっていかないのだろう。有機的につながらず、ばらばらだと、個々のソリューションしか出てこない。顧客が求めているのは、全体がつながった大きなソリューションであるはずだ。

河原:複数の部署が横断的に関わるプロジェクトの場合、最初にゴール地点までの大まかな流れや、プロジェクトのビジョンが共有されると、自分に求められる役割や動き方がはっきりとわかる。その上で目的を理解して取り組むことが、“集団”として有機的につながるという事だと思う。

吉田:有機的につながるには、コミュニケーションが大事ということだと思う。

河原:雑談レベルでも気軽に話せる環境が大事だと思う。そういったところから、“技術者集団”としての関係性が築かれていくと思う。

個々のプロフェッショナルとして

和田:コミュニケーションの視点でいうと、例えば、ある分野のスペシャリストと、その分野に明るくない自分が議論をしないといけない場合がある。こちらの知識が一方的に足りない状況の中で、どのように進めるとチームとしてうまく機能していくか。

中原:技術者として逃げないこと、くらいついていく姿勢が大事だと思う。そのなかで信頼関係を築いていく。

吉田:共通言語があるのではないか。この会社に入って思うのは、CFKは足を引っ張りあうことのない、前向きな人間の集合体だということである。同じ目的に向かって取り組むで、仕事の中で怒られることはあっても、最終的に出来上がったものがミスなく、良いものであればいいというマインドで取り組んでいる。先に出てきた「100人に1人のスペシャリスト」となると、会社だけでは収まらない。個々が社外にも出ていって、そこで受けてきた刺激をどのように社内に還元するのかということも大事だと思う。

中原:言葉で伝えていくことも大事だが、百聞は一見に如かずで、機会があったら、若い世代はどんどんその場に連れていき、体感させる必要がある。

河原:外部の方々の考え方に刺激を受け、興味を持ち始めているところである。ただ、社外との会議などで直接やりとりする機会は少ない。もっと、他社の関係者、学識経験者との交流する機会を通じて社外の方の考えや思いに触れていきたいと思っている。

塩谷:学識経験者は専門分野はもちろん、関連する他分野についても多くの知見を有している方が多く、話を聞くだけでも刺激を受ける。私が所属するグループでは、技術的な勉強会を定期的に開催しており、学識経験者・社外関係者から得た知見を紹介・共有することもある。

新たな高みへ

和田:私の場合、ここ数年、建設コンサルタント以外の関係者と話す機会が増えている。違う業界の方と話していると、我々が受託産業に慣れ切ってしまっているということを感じる。具体的に言うと、課題があってそれを解決することには慣れているが、「空飛ぶクルマ」のように、課題解決型ではなく、新たな未来を作る取組み、現状をより良くするための取組みに挑戦することに慣れていない。今後、異業種とのネットワークの重要性を感じており、今までのある意味、閉じた環境から、もう一歩飛び出す重要な示唆を得ていると思う。

吉田:和田さんのような取組みは、今後CFKが進むべきステップの一足先に踏んでくれていると思う。今後、このような取組みがCFKで広がっていくとしたとき、文化の違う異業種とどのようにコミュニケーションをとるのがよいか。

和田:プロジェクトを進める中で、ミーティングを重ねながら、ニーズ・シーズの洗い出しを行うことが重要と認識している。我々は土木技術者として、通信会社は通信技術者として、得意分野からアプローチしていく。お互いに議論を重ねながら、できることを模索していくイメージである。

吉田:和田さんが紹介してくれた取組みをみると、これも一種のスペシャリストに思える。

和田:スペシャリストの自覚はない。どちらかというと、コーディネーターとしての意識の方が強い。その中で、会社であったり、個人であったりのプレゼンスをどう示していくのかということに難しさを感じる。試行錯誤の毎日である。

澤野:コーディネーターでもスペシャリストになれる。ただ、コーディネーターでスペシャリストになろうと思うと、人的ネットワークをはじめ相当の能力と経験が必要だと思う。CFKでは、そのような仕事は計画系部門の技術者が多く係わっているが、どのようにすればスペシャリストになれるのか考えなければならないと思っている。

今後、コンサルタントとして

澤野:建設コンサルタントの役割として、エンドユーザーを幸せにする、公共サービスの質を高めるという本質は変わっていない。ただ、求められていることが多様化している。昔は主にハード整備が求められていたが、社会が大きく変わりつつある中、我々の発注者でもある行政でさえも役割が大きく変わってきている。

吉田:色々なことに取り組んでいくための会社としての投資はやはり必要だと思う。既存の分野だけでなく、新規分野に取り組むことが大事だが、その時に誰と戦うのかを意識しながら、個人やCFKのブランドを作っていく必要がある。

和田:まずはプレイヤーとして手を動かして、CFKの名前を売る、信頼を得る中でプレゼンスを高めていくことが必要な手段だと思う。そういった中で、異業種からの声がかかってくるのだと思う。

澤野:なぜ、通信会社やメーカー等からCFKに声がかかったのか。

和田:例えば、通信事業者が鉄道事業とローカル5Gの融合を目指す中で、CFKがウェブサイトで鉄道を強みとアピールしていることから興味を持ち、取り組みに発展していった。やはり建設コンサルタントが持つ、まちづくりに対する知見や技術力、情報収集力への期待から、一緒に取り組むことで事業につなげやすいと期待されているのではないか。また、そういった取組みに参画するためには、CFKがそれらの事業者の目に留まるための地道な努力が必要と感じている。

中原:最近感じることだが、あるニーズがあって、しかしそこにはそれを解決するすべがない。一方で、違うところには解決するすべがある、ということがある。例えば、業務の効率化で少し関わることのあった会社で取り組む図面照査ソフトの開発もそれに当たる。今後もそのような発見が色々出てくると思うが、現状は先ほど話にあがった5Gしかり、ツールのほうが発達し過ぎているように思う。一個人や一分野では知りがたいところに、実はできることがいっぱいあるのだろうと思う。それにどうやって出会うかというのが課題となっていて、今後は「マッチング」がキーになる。

和田:最近では、異分野同士のマッチングを生業にするような企業も生まれている。つなぎ役ということも役割として価値があるのだろう。

新たな時代のWell-BeingなCFKへ

和田:今回の中期経営計画では、Wellbeing経営の視点が挙げられている。私自身は、転勤族の家庭で育ったので、1カ所に住むことにこだわりはない。ただ、1カ所に腰を据えて、という考え方も理解できる。

河原:コロナ禍で、多様な働き方できる社会が見えてきているところがあるのではないか。このような多様な働き方が認められないと、会社が社会からおいていかれるのではないか。

塩谷:離れた場所で働くというのも一つの働き方として良いと思う。一方で、自分の生活圏だからこそわかるその地域の課題というのもあると思うため、働く場所と住む場所は同じフィールドで、という考えもある。

吉田:離れた場所で働きたいという要望があることは理解している。個人的にも、どこで働いても生産性は変わらないかと思う。ただし、図面など、複数のメンバーで紙を共有して、コミュニケーションを取ることで進められる部分も未だに多い。

澤野:先ほどからの重要なキーワードに「コミュニケーション」というのがある。私は、人がリアルに同じ場所に集まらないと、創造的な発想などは生まれないと思っている。これは今でも正しいと思っていて、これからも「原則出社」だと思っていた。でも最近、人にはそれぞれ価値観や事情も異なり、在宅勤務もありかなと思っている。ただ、在宅勤務の場合、出社した場合と同じ働き方や成果を求めるのではなく、それぞれの生き方に応じた働き方があるかもしれないと考えるようになった。今後、CFKとして、どこまで対応できるか、また対応すべきかについて考えていきたい。

河原:多様なキャリアパスにもつながるだろう。

中原:会社として何らかのルールを定めた上で、取り組んでいく話だと思う。

「中期経営計画」に想う

吉田:「中期経営計画」をきっかけに、「本質を極める」という意味も含めて、改めてみんなと話し合い、方向性や施策を見極めていきたい。また、他分野とコミュニケーションを図って、何か新しいことに取り組んでいきたいと感じた。

中原:まずは所属する鉄道分野の領域で、業界の上位に居続けられるように貢献したい。先輩から受け継いだものを次の世代につないでいくこと、継続して業務ができる環境を残すことが目標である。

和田:「本質を極める」という意味では、社外との取組みで、どれだけプレゼンスを高められるのかということに重きを置きたい。社外からは、コンサルタントとして、まちづくりの知見、技術力を求められると思っている。そのための素養を高めていきたい。

河原:まずはコンサルタントとして自立する。資格取得もそうであり、そのプロセスの中で本質を見極め、極めていきたいと思う。また、スペシャリスト、ゼネラリストもそうだが、技術者として自分ならでは色を付けていきたい。受け身だとなかなか難しいと思うので、前向きな行動を通じて掴んでいきたい。

塩谷:目に見える課題だけではなく、顧客が内に抱える本質的の課題解決に貢献できるようになりたい。入社10年間一つの分野に注力してきたが、今、縁があって新分野にも関わる機会を得ている。そういった機会も活かしながら、本質を見極める力を養っていきたい。また、自分の培った知識や経験を後輩にもつなげていきたい。

澤野:今回、中期経営計画がとりまとめられたことを機に、皆さんに集まってもらい、率直に議論してもらった。今回のメンバーだけでなく、CFKの社員全員が、様々な機会で、このような議論を行って欲しい。本気で意見をぶつけ合うことで、新たな気づきが得られる。ただ、本気で議論をしようと思うと、普段からのコミュニケーションすなわち信頼関係の構築も必要である。「本質を極める」の第一歩として、様々な人たちと様々な場で「本気の議論」を始めてはどうかと思う。

RECRUIT

採用情報


私たちと一緒に新しい未来を切り開きましょう。
CFKでは、高い志を持ってチャレンジし続けるあなたを待っています。

採用情報へ 採用情報