大学との連携講座を通じた相互人材育成

白水靖郎
取締役
経営企画本部
本部長

「建設コンサルタントの技術を大学で教えて貰えないか?」。

2014年秋、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(当時)の森栗教授から声をかけて頂きました。

森栗先生が目指されていたのは、まち・みちづくりに必要なメディエーション技法、コミュニケーションに必要なデータ分析技法、インフラや総合的なまちづくりに関する問題等を一体的に学べる科目。学生に加えて、社会人公開の大学院共通科目として2015年度の開講を目指しておられました1

一方、CFKとしては、社会インフラの担い手となる人材の確保・育成が、建設コンサルタントに限らず土木業界全体の大きな課題だと認識していました。社会インフラに携わる仕事の面白さを学生に伝え、社会人になった後も幅広く連携していきたい、そういう想いがあり、森栗教授からのお誘いは、千載一遇のチャンスだと考えました。

両者の想いが重なった時です。

試行錯誤で始まった連携講義

継続的な取り組みとするため、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(現・大阪大学COデザインセンター)と、一般社団法人建設コンサルタンツ協会近畿支部が連携協定を結び、その一環で講義を進めることになりました。

大学側は多様なシーズに基づく社学連携を展開し、協会側は必要に応じて人材や場所を提供するという、包括的な協定です。
こうして、大阪大学と建設コンサルタンツ協会近畿支部による「まち・みちづくり演習」が開講しました。初年度となる2015年度は、ゴールデンウイークと5~6月の休日を使った集中講義形式で行いました。大学、CFKともに手探りの状態。試行錯誤しながら取り組んだことが記憶に新しいところです。

プログラムもテキストももちろん手作り。CFKから6名の社員が講師役として参画し、実務で培った経験・知見を交えながら、みち・まちづくりに必要なデータ分析手法等を教えました。教えることの難しさを実感しつつも、社会インフラに携わる仕事の面白さを自分たちの言葉で伝えることにやりがいを感じました。教室は、社会人学生の交通の便を考慮し、新大阪に立地するCFKの会議室を提供しました。
この経験を活かし、2016年度・2017年度は他の協会会員企業からも講師を招き、より充実した講義になるように努めました。2016年度からは、科目名が「地域情報活用法」となり、教室は大阪大学中之島センターを使用しています。

 

技術だけでなく想いを伝えたい

講義では、地域課題を整理し仮説を立ててデータ分析を行うプロセスや、様々なオープンデータの収集・分析方法、データリテラシー面で気をつけることなど、コンサルタントならではの実践的ノウハウを伝授することを意識しました。
実践的ノウハウ。それは技術(テクニック)だけではありません。どのような目的意識を持って、どのように地域課題を捉えるのか、それを伝えるために、われわれ建設コンサルタントの仕事の内容についても具体例を交えて紹介しています。また、グループワークを通じて社会インフラに携わる仕事の大切さ・面白さを伝えることに努めています。
 

グループワークの場で課題から一緒に考える。実践知を伝える瞬間
グループワークの場で課題から一緒に考える。実践知を伝える瞬間

多種多様な学生との協創

コミュニケーションデザイン・センターは、いわゆる工学部土木工学科ではなく、全学共通の教育機関です。このため、受講者は、実に多種多様。交通に興味を持つ工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻の学生、過疎問題に取り組む文学部人文地理学専攻の学生、地方行政に興味を持つ法学部の学生、ドイツに1年間留学して都市計画を学んできた外国語学部ドイツ語専攻の学生、地域医療に興味を持つ保健学専攻の学生等々。目的意識がはっきりしているから、取り組む姿勢が違っています。

また、社会人学生がいることも、この講義の特長。分析ツールを器用に使いこなすのは現役学生であるが、課題の捉え方においては実社会の経験が役に立ちます。社会人と現役学生のコラボにより、まち・みちづくりの化学反応が生まれていく光景は、見ていて楽しいもの。
 

CFKの会議室で行った2015年度の授業講義
CFKの会議室で行った2015年度の授業講義
実業務の経験談は一番の教材
実業務の経験談は一番の教材

実践的な教育の場での相互人材育成

土木は実学。われわれコンサルタントも実践の中で日々学んでいます。教科書だけでは伝わらないことを伝える実践的な場は極めて重要です。

このような場は、実は、我々コンサルタントのためにもなっています。ラーニングピラミッドという言葉をご存知でしょうか。講義を聞くだけでは5%しか身につかない。俗に読書だと10%、視聴覚教材だと20%。それが、グループ討論だと学習定着率は50%になり、自ら体験すれば75%、そして他人に教えることで90%となると言われています※2。我々コンサルタント自身も、教えることを通じて多くのことを身につけることができるのです。

社学連携の取り組みを通じて、実践的な人材育成の一翼をコンサルタントが担っていくとともに、自らが成長していくことが大切だと思います。

何より、このような取り組みはとても楽しい!(2019.02.26リライト)
 

ラーニングピラミッド2)

【参考文献】
※1 森栗茂一:まちづくりに最もひつようなのはイマジネーションのある人材を育てること、土木学会誌、v o l .100、No.4、April 2015
※2 U.S. National Training Laboratories

明石高専「社会基盤メンテナンス工学」の非常勤講師を務めました

新田センター長(社会インフラマネジメントセンター)が、明石工業高等専門学校の非常勤講師を務めました。

担当した科目は、「社会基盤メンテナンス工学(対象:都市システム工学科5年生)」で、期間は2017年4月10日~9月30日(15週・週1回)でした。

社会基盤のメンテナンスは、これからの土木において重要なテーマであり、構造物の点検、維持・補修設計等の基礎から、最先端のアセットマネジメント技術まで、豊富な実務経験を活かし実践的な講義を行いました。次世代を担う土木技術者の育成に、微力ながら貢献したいと考えています。

JICA課題別研修「自動車大気汚染対策」コースの講師を務めました

公益財団法人地球環境センターからの協力依頼を受け、同センターが、独立行政法人国際協力機構(JICA)からの受託されている標記研修の講義の一部をCFKが担当しました。

CFKが担当したのは、「環境影響評価に係る実務(平成2017年8月29日(火))」と「総合的な都市の交通計画(実務)(平成2017年9月6日(火))」です。

前者については、CFKの会議室で実施しました。(後者については、公益財団法人地球環境センターにて実施)
日本の経験を発展途上国に伝えることも、コンサルタントの重要な役割です。
 

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