
サードプレイス(第三の場所)とは、社会学者オルデンバーグが提唱した概念で、家庭(ファーストプレイス)でも、職場(セカンドプレイス)でもない、自由で居心地のよい交流の場です。その形態としては、カフェ、パブ、図書館、公共空間などです。CFKが携わってきたなんば広場、三条通、あるいはCFK東京本社の若手が仕掛けている「パーチ」などはその一例と言えます。
そして近年、「フォースプレイス(第四の場所)」という概念が注目されつつあります。家庭、職場、サードプレイスの要素が組み合わさった新たな社会的環境。リアルとバーチャルが交錯する場。自己革新を可能とする共感の場。疎外された人々の社会包摂の場。明確な定義はありませんが、これらの場を使う「共同体」という概念が、サードプレイスよりも色濃くなっています。
そういう意味で、CFKが今春からチャレンジを始めたシェア型書店とカフェをコンテンツとした地域拠点ホトリヲは、サードプレイスとフォースプレイスの両面がありそうな気がします。都心フリンジの再生を狙う十三プロジェクトは、大規模インフラ整備に併せて公共空間の民間活用と民間施設のリノベーションを行うと同時に、カオスな地域特性を活かした「クリエイティブネイバーフッド」づくりを自走させることで、サード&フォースプレイスメイキングに挑みます。リニューアルしたCFKオフィスの1階「1TTAN」も、地域に開くことによってフォースプレイスの顔も持つかもしれません。
思えば、「Beyondコロナの日本創生と土木のビッグピクチャー~人々のWell-beingと持続可能な社会に向けて~(2022年6月,土木学会)」でも、共同体を重視した価値観が重要と考えました。フォースプレイスは、ある意味土木の本懐に繋がるもの、原点回帰と言えるでしょう。

白水 靖郎SHIROMIZU Yasuo
代表取締役社長