RTKを用いたUAV写真測量の取り組み

はじめに

刈谷 友紀
KARIYA Tomonori
総合技術本部
技術マネジメント
グループ
測量チーム

CFKは、鉄道・道路・港湾などの計画や設計を行う総合建設コンサルタントです。その中で、測量チームとして日々各種測量・調査を行い、計画・設計業務に資する基礎資料作りを行っています。昨今の技術進歩に伴い、CFKでも他社と同様に従来測量に加えて、地上レーザスキャナやUAVを導入し、積極的に三次元測量に取り組んでいます。今回は新技術ではありませんが、CFKが導入している「RTK UAV(機種名:Phantom 4 RTK)」を用いた取り組みについて紹介します。

Phantom 4 RTKスペック(DJI社HPより)

CFKが導入した「RTK UAV」は、その名の通りRTK(Real Time Kinematick)を利用して測位することで、センチメートルレベルの高い精度で測量データを取得することが可能な機体となっており、測量業務に特化したモデルといえます。また、「D-RTK2」と呼ばれる専用のモバイルステーションを現地の基準点に設置し、主要なGNSSデータ(GPS/GLONASS/Beidou/GALILEO)を受信することで、補正データをリアルタイムに機体へ送っているため、標定点を設置しなくても正確な測位データを取得できることが最大の特徴となっています。

「RTK UAV」を用いて行う写真測量は、あらかじめインストールされている専用の飛行計画アプリ「GS RTK」を使用することで簡単に実施することができます。画面に表示される地図上で、飛行範囲を設定すると自動で飛行ルートが表示され、あとは、飛行するルートの向きや飛行高度、飛行速度、オーバーラップ率などを設定しておけば、現場では計画どおりに飛行させるだけなので誰でも簡単に写真測量を行うことができます。また、計画した飛行ルートや飛行高度などのデータは専用アプリの中に保存されているため、別日に同ルート・同設定で飛行させることも可能となります。

Phantom 4 RTK
D-RTK2

活用事例① 防波堤の計測

作業は最初に防波堤上の基準点に「D-RTK2」を設置し、緯度経度や標高等のデータを入力して飛行の準備を行いました。この業務では飛行ルートや飛行高度等について、事前に社内で設定していたため、現場では「D-RTK2」と接続するだけで飛行可能となります。現場の防波堤は、港外側に消波工があるため、少しでも海上にでている状態でデータを取得できるように、大潮の干潮時刻にあわせて写真測量を行いました。「Phantom 4 RTK」は、途中で飛行を中断しても「GS RTK」に実行中の状態で計画データが残るため、続きから再開することが可能です。そのため、広範囲な現場でバッテリー交換が必要になった場合でも、飛行を中断する必要がありません。撮影した写真は、「Pix4Dmapper」を使用して解析を行い、点群データを作成しました。

「GS RTK」飛行中の画面
作成した点群データ

活用事例② 河川堤防の計測

ヒートマップ(標高差)

この現場では周囲に山があるため、UAVを手動で飛ばし、画面に表示されている計画範囲が現地の位置と正しいことを確認してから写真測量を開始しました。この業務では、検証点として既知点に対空標識を設置し、比較することで簡易的に計測誤差の確認を行いました。作成した点群データと検証点との誤差は数ミリ~数センチ程度となり、十分な精度であることを確認しました。また点群データは、過年度に実施された航空レーザ測量データと比較を行い、観測時期による標高差の違いをヒートマップで表示し視覚的に把握することができました。

活用事例③ 斜め撮影の実施

樹木の根元の様子

樹木が生い茂っているような箇所での写真測量は、レーザーのように間をすり抜けていくことができないため、地表面や木の根元の把握が困難です。そこで通常の写真測量に加えて、「Phantom 4 RTK」を手動で操作し、任意の位置で斜め撮影を実施しました。計画を立てて実施した写真測量のデータと、任意の位置で撮影したデータを合わせて解析を行った結果、地表面や樹木の根元まで点群データにすることができ、手動での斜め撮影が効果的であることを確認できました。

おわりに

衛星の接続数

今回紹介した「Phantom 4 RTK」は、「D-RTK2」と組み合わせることで衛星を常に30個以上取得しており、操縦しなくても離陸したホームポイントとほぼ同じ位置に正確に着陸することができます。高精度な三次元データを取得できるため、道路や橋梁、港湾等、さまざまな分野で活用していきたいと思っています。狭い範囲であればトータルステーションや地上レーザスキャナの併用、広範囲であればUAV写真測量やUAV搭載型レーザスキャナなど、現場の状況に応じた提案・使い分けができるよう、日々の業務の中で課題の発見・解決を行っていきたいです。また今後は、背負型レーザスキャナについても技術提案して取り組んでいく予定です。

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