オフィス環境づくり05:リサーチから見えてきた、わたしたちの未来の作り方

これからのオフィス環境と働き方を考えるために、社外へ飛び出してみる

CFKは、オフィス環境の変革を通じて新しい価値創造と働き方を実現するため、2020年夏から「新しいオフィス環境づくりプロジェクト」に取り組んでいます。その一環として、2023年7月~9月に京都・鳥取・東京の3ヶ所でフィールドリサーチを行いました。

今回は、リサーチに参加した3名の若手社員と、本プロジェクトに外部パートナーとして携わっている株式会社ロフトワークの服部木綿子さんが、各地でどんな気づきを得たのか、今後のプロジェクトや自身の働き方にどう生かすのかを語り合います。

取材・執筆:藤原 朋
写真:山元 裕人
 

左から順に
服部 木綿子(株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター)
横田 麻佑加(業務推進本部 営業管理室)
菊地 佑(環境・防災系部門 地盤・防災グループ)
前田 和輝(構造系部門 トンネルグループ)

オフィスの外へ出て、新しい領域や考え方に触れる

服部 木綿子
株式会社ロフトワーク クリエイティブディレクター

服部:私たちロフトワークは、2021年夏から外部パートナーとして本プロジェクトに携わってきました。今日は、プロジェクトの初期から参加してきた若手社員の皆さんと一緒に、フィールドリサーチを振り返りながら、プロジェクトのこれからについてお話しできたらと思います。まず初めに、普段はどんな働き方をしていて、どんな思いを持ってこのプロジェクトに参加しているのか、改めて聞かせていただけますか?

横田 麻佑加
業務推進本部 営業管理室

横田:私は普段は営業事務を担当しています。展示会やイベントで外に出る機会もときどきありますが、基本的には内勤です。普段は部署内の人たちとのやり取りが中心なので、オフィス環境のリニューアルを通して、部署の枠を越えてもっと気軽に話せて、若い人たちが相談しやすい雰囲気ができていくといいなと思っています。

菊地 佑
環境・防災系部門 地盤・防災グループ

菊地:地盤・防災グループで、地盤に関する仕事をしています。普段は、現場とオフィスを行ったり来たりという働き方ですね。自分が1日7~8時間過ごす場所に責任を持って関わりたい。自分の未来を自分で作りたい。そういう気持ちでオフィスリニューアルのプロジェクトに参加しています。

前田 和輝
構造系部門 トンネルグループ

前田:構造系のトンネルグループで、主に山岳部のトンネルの設計を担当しています。現場は東北や中部、四国といった地方が多く、出張に行くこともあります。CFKの働き方がもっと変わっていけばいいなという気持ちがあり、そのためにはオフィス環境を変えていくことが大切だと考えてプロジェクトに携わっています。

服部:皆さんは今回のフィールドリサーチに参加されましたが、リサーチを行う目的をどのように捉えていますか?

菊地:フィールドリサーチ先は、僕たちの専門領域からちょっと離れた、でも手が届きそうな距離感の領域でした。だから、CFKがこれから新しい領域の仕事にも挑戦していく上で必要な視点を取り入れるための、一つの手段だと捉えて参加しました。自分たちの仕事と近しい部分と全く異なる部分があって、とても刺激になる体験でした。

前田:昨年度はプロジェクトメンバーで他社のオフィスを見に行きましたが、今回のリサーチでは、オフィスというモノが対象というより、それぞれのフィールドで真剣に取り組んでいる人たちの思いや考え方、行為を見せていただくことができたのが、すごく刺激的でした。

横田:オフィス環境を変えるということは、モノだけじゃなくて人が変わっていくことだと思うんです。今回のリサーチでは、オフィスの外に目を向けてみて、仕事だけにとらわれず、もっと広い視野でいろいろな生き方や考え方に触れる機会になりました。

生物多様性に配慮した庭を通して、オフィスのあり方を考える

服部:ではここからは、一つひとつのフィールドリサーチを振り返っていきたいと思います。1回目に訪れたのは、京都市下京区にある東本願寺の飛地境内地の庭園「渉成園」でした。参加した前田さんと横田さんは、フィールドリサーチでどんなことを感じましたか?

渉成園の管理を手がける植彌加藤造園の庭師、太田陽介さんと鷲田悟志さんにお話を伺いながら、庭園内を歩きました。
動画制作:ロフトワーク・太田佳孝

前田:渉成園は「生物多様性に配慮した庭」をテーマとされています。庭師の方たちが、自然というコントロールできないものに対してどのようにアプローチしていくのか、都市における庭園のあり方はどうあるべきか、真剣に考えていらっしゃるのが印象的でした。単に一つの庭を作っているのではなく、この庭が都市にどう波及していくかという大きな視点を持って取り組んでいるところも興味深かったです。CFKのオフィスも、新大阪のまちの中での位置付けや、まちにどう波及させていけるのかを考えていけたらいいなと思いました。

服部:リサーチ中に気になったことや感じたことをスケッチブックに書き留めたり、使い捨てカメラで記録してボードにまとめましたが、前田さんや横田さんはどんなことを感じましたか??

3回のフィールドリサーチをまとめたリサーチボードは、CFK1階に展示しています。(2024年3月頃までを予定)
什器デザイン・制作:ぷかぷか工作室(黒田晃佑)、アートディレクション:武居泰平

前田:「自然を科学的にコントロールする。しかし……難しい!どう捉えるか?考えるか?」と、庭師さんたちの想いや苦悩を感じた言葉を書き留めました。庭の苔を裸足で踏ませてもらった時の写真も掲示されています。

横田:私は「山の木は自然に重なりあわず美しい状態を保つ」と書きました。庭師さんのお話を聞いて、全部をきれいに整えればいいわけではなく、あえてそのまま残すことも大切なのかなと感じて。オフィス環境も、きれいに整えて形を決めてしまうのが良いわけじゃない。常に完成はしておらず、時代に応じてどんどん変化させていけるオフィスになればいいなと思いました。

林業のマイクロ六次産業化を体感する旅

服部:2回目の行き先は、鳥取県智頭町でした。参加した菊地さん、フィールドリサーチを振り返ってみていかがですか?

林業とデジタルテクノロジーを掛け合わせ「林業のマイクロ六次産業化」に取り組んでいる、ちょうどいい材木ラジオ/VUILD株式会社の井上達哉さんと自伐型林業家の大谷訓大さんにお話を伺い、山づくりの一連を体験しました。
動画制作:ロフトワーク・太田佳孝

菊地:井上さんと大谷さんは、林業という枠組みに収まらず、エンドユーザーがどんなものを求めているかまで意識されている。その姿を見て、僕たちも設計する時にもっとエンドユーザーを意識しないといけないなと改めて感じました。普段の仕事で関わっている山というフィールドに、別の角度から触れている方たちとお話しできたのは、とても良い経験でした。

服部:3回のフィールドリサーチの中で唯一、1泊2日の合宿形式だったので、普段の仕事だけではわからないような、プロジェクトメンバーの皆さんの知らない一面が見られたのも良かったですよね。

菊地:選木・伐倒・搬出・製材・加工までの一連の流れを実際に体験する中で、CFKの人たちはものづくりに対するこだわりがすごく強いんだなと実感できてうれしかったですね。ものづくりやその後の飲み会など、いろんな形のコミュニケーションを通じて、人となりがグラデーションでわかっていく貴重な機会でした。

共創空間に散りばめられた、場づくりの仕掛け

都市課題が集まり、解決策を未来へ実装できるオープンプラットフォームを目指す共創スぺース「PYNT」を歩き、日建設計・イノベーションデザインセンターの横山明日香さんに「PYNT」の運営についてお話を伺いました。

服部:フィールドリサーチ3回目の現場は、株式会社 日建設計の東京オフィスが運営する共創スペース「PYNT(ピント)」でした。参加した横田さんと菊地さん、いかがでしたか?

横田:社員の方たちが選書した本棚があったり、進行中のプロジェクトが垣間見える展示があったり、PYNTを訪れた人たちの付箋がたくさん貼られていたりして、社内外の人たちがお互いを知ることができる空間になっているのがすごく印象的でした。仕事から少し離れた場所でお互いを知ることで、仕事もうまく回っていくんだろうなと感じました。

服部:リサーチボードには、菊地さんの「エンジンは自分の意志」という言葉がキーワードとして使われています。どんな気持ちからこの言葉が生まれたのでしょうか。

菊地:日建設計の横山さんから「CFKさんは会社主導でこのプロジェクトを進めているんですか」と質問があったんです。もちろん会社の方針ではあるけれど、僕は「会社から言われたからやっている」というマインドではないので、「スタートを切ったのは会社だけど、動力源であるエンジンは自分の意志です」と答えました。

服部:「PYNT」でも、運営に関わっている人たちの「いい空間にしよう」という強い意思を感じましたね。

「自分たちの意志」をエンジンに、もっと若手を巻き込む

服部:「エンジンは自分の意志」という菊地さんの言葉の他にも、「誰よりも、好奇心」という言葉など、プロジェクトを進める中でCFKの皆さんから生まれたキーワードが、旗印のような存在になりつつあり、オフィス環境づくりのプロジェクト自体がポジティブに変化してきている印象を受けます。皆さんはどう感じていますか?

菊地:オフィスの基本設計が終わるまでは、ロフトワークさんをはじめとする外部パートナーの方たちに導いてもらっている感じがあったと思うんです。でも基本設計に対する社内のいろいろな意見があって、肯定的な声ばかりではない中で、僕たち若手社員が「もっと自分たちが動かないといけない、もっと自分の意見を言おう」という空気になったんじゃないかと思います。

前田:最初の頃は、若手は補助的にプロジェクトに入っているような雰囲気でしたが、「もっと自分たちが動こう」というスイッチの切り替わりがあったように思います。自分の思いをちゃんと乗せないと、自分の言葉で説明できないですから。

横田:私も、チーム全体としての気持ちは上がっているんじゃないかなと感じますね。だからプロジェクトの旗印となるような言葉も生まれているんだと思います。

服部:そういった皆さんのマインドや行動が、CFKらしさやプロジェクト志向をまさに体現されていると感じます。プロジェクト自体の変化だけでなく、プロジェクトを通して社内の変化を感じることもありますか?

横田:プロジェクトの一環で、フロアの実験として観葉植物を置くようになったんですけど、毎日水やりをしていると「これは何の木?」「この木、元気がないけど大丈夫かな」とか、話しかけてくれる人が何人かいて。ちょっとしたきっかけから、人のつながりが増えていくんだなと感じています。

菊地:「PYNT」では本棚や社内ラジオなど、多岐にわたるコミュニケーションツールが散りばめられていましたね。そういう空間になれば、同じフロア内や部署内だけじゃない会話が生まれていくのかなと思います。

服部:会話が生まれるための仕掛けがあるオフィス空間になっていくといいですよね。CFKでもできそうですか?

菊地:今度、「U35」世代の社員で、これからの働き方を考えるワークショップをする予定なので、そこでアイデアが出てくるといいですね。まずは若手を巻き込んでいくのが大事だと思っています。「PYNT」でも、「タスクに追われて忙しすぎて、社内外の新しい情報に触れられない人をどう巻き込むか」という話題が出ていて、CFKも同じだなと感じます。

前田:忙しい人たちを巻き込むのは難しいですね。でも、6階のボードに基本設計の図面を貼って付箋を一緒に置いておくと、意見を書き込んでいる人がけっこういて。場があれば自ら関わる人が意外と出てくるんだなという発見がありました。こういう掲示板みたいな場を設ける手法は、他の場面でも使えるかもしれないです。

横田:今は1階がほとんど使われていなくて、勤務時間中に気軽には来れない感じなので、オフィスリニューアル前からイベントなどでどんどん使っていくと、心理的なハードルが下がって良いかもしれません。実際に使ってみたほうが、「こう使えるかも」っていう発想も湧きやすいと思うので。

菊地:例えばラジオだったら今からできますよね。情報発信をしていくことで、興味を示す人が徐々に増えていけばいいなと思います。

服部:リニューアル後に起こりそうな景色を、まずは小さく始めてみるのが大事かもしれませんね。では最後に、今後のプロジェクトへの関わり方や自分自身の働き方について、ひと言お願いします。

前田:今は20年前の環境で20年前の働き方をしているので、令和の環境で令和の働き方ができるように、オフィスも自分自身もアップデートしたいです。

横田:働き方も考え方も、時代に合わせて柔軟に変化していけるといいですね。

菊地:「エンジンは自分の意志」と言ったけれど、それを「自分たちの意志」にしていきたい。そして、意志は持つだけじゃダメなので、もっと発信すること、巻き込むことが大切だと考えています。

オフィス環境づくりの紹介

オフィス環境づくり01:
新たな価値創造を支える働き方の実現に向けて

CFKが模索する「これからの時代の建設コンサルタント」に求められるオフィス環境に関する中間報告を対談形式でお伝えします。

オフィス環境づくり02:
社内外の共創を生み出すには? 対話を通して空間や仕掛けづくりを考える

社内外の共創を生み出すには、どんなオフィス環境や働き方、マインドが求められるのか。現状における課題や目指すべき方向性を外部パートナーを招いて語り合います。

オフィス環境づくり03:
地域の生態系ネットワークと呼応する、オフィスと都市の未来

ランドスケープ・アーキテクチャー(緑地学)を専⾨とする増⽥昇先⽣(⼤阪府⽴⼤学名誉教授)、本プロジェクトの外部パートナーである住友恵理氏(建築デザインユニット etoa studio 代表)をお招きし、屋上や中庭でチャレンジしたいことを社員と共に語り合います。

オフィス環境づくり04:
大阪中津・西田ビルに学ぶ、自社オフィスを通じてまちを良くしていく覚悟

地域に開かれたオフィスビルを目指し、そのヒントを求め総合ローカルカルチャー施設・西田ビルを訪問。ビルオーナーの西田工業(株)の宇田川さんと、さまざまな取り組みを仕掛ける東邦レオ(株)の久米さんと語り合い、これからのCFKのあり方を模索します。

オフィス環境づくり06:
本音を話すことからはじめよう。部門を超えた同世代の繋がりづくり。U35ワークショップ「喫茶シランケド」

自分たちの未来を自分たちの力でつくっていくために、U35世代の社員が自分たちの働き方の現状と理想を語り合うワークショップを企画、開催しました。

オフィス環境づくり07:
これからの仕事と働き方を、私たちが作っていくために。U35「価値創造を噛み砕くロジックモデルワークショップ」

35歳以下の若手が主体となり、U35「価値創造を噛み砕くロジックモデルワークショップ」を実施。会社が掲げている中期経営計画(2022-2024)を自分たちなりに噛み砕き、CFKの未来を考えます。

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