自分たちの未来は、自分たちの力でつくる
CFKがオフィス環境の変革を通じて新しい働き方と価値創造を実現するため取り組んでいる「新しいオフィス環境づくりプロジェクト」。特に、この新しい環境と長く付き合い、向き合っていくのは、若い世代です。
現在CFKで働く社員523名のうち、35歳以下は173名、約33%を占めています(2023年12月記事執筆時点)。「新しいオフィス環境づくりプロジェクト」のタスクフォースメンバーも、16人中12人が35歳以下の社員。自分たちの未来を自分たちの力でつくっていくために、若手社員をもっと巻き込んでいきたい。タスクフォースの若手メンバーから声があがり、U35世代の社員が自分たちの働き方の現状と理想を語り合うワークショップが企画、開催されました。
取材・執筆:小黒恵太朗(ひとへや)
写真:小椋雄太
合言葉は「知らんけど」。本音を話しやすい雰囲気づくり
2023年11月2日、CFKのU35世代の社員約40名が集まりました。部署も様々で、先輩・後輩といった関係性もバラバラ。普段は別々のフロアで働いているため、顔を合わせる機会が少ない者同士が多く、それぞれの顔には少し緊張の色が浮かびます。
「これだけ多くの若手が集まって、意見を交わす機会は貴重ですよね。今日のワークショップで、新しいアイディアをいきなり決めるわけではありません。若手同士でわいわいと話し合えるような空気感を、少しでもつくれたら良いなと思ってます。楽しい時間にしていきましょう!」
タスクフォースメンバーである入社5年目の菊地(環境・防災系部門地盤・防災グループ)の声かけで、ワークショップは幕を開けました。
ワークショップの進行をサポートするのは、株式会社ロフトワーク。2021年からオフィス環境づくりプロジェクトに外部パートナーとして伴走し続けています。
会場を見渡してみると、壁には『喫茶シランケド』というポスターがあちこちに貼られていました。これはロフトワークが人と人の出会いの場づくりの一環で継続開催しているイベントのコンセプトを持ち込んだものです。
今回のワークショップの目的は、働き方の現状のもやもやを吐き出し、どんなアクションをすれば自分たちの理想に近づけるかを出し合うことで、U35社員一人ひとりが、新しい働き方と価値創造を自分ごとにするきっかけをつくることです。責任感が強すぎると発言しにくい「もやもや」や「やってみたいこと」を、関西人が慣れ親しんでいる方言「知らんけど」を語尾に付け加えることで、肩の力を抜いて、無責任にどんどんと発言してほしい。そんな緩やかでポジティブな雰囲気になることを願って、「シランケド」のマインドセットが説明されました。
一杯のコーヒーで育まれるコミュニケーションの場
また「喫茶」の名前にふさわしく、会場にはカフェカウンターが用意されていました。バリスタを務めるのは、前川壮太(まろ)さんとフリーランスバリスタのマリコさん。もともと歯科衛生士のキャリアを歩んでいたマリコさんは、バリスタに転身して10年。子育てで追い込まれてしまったところを一杯のコーヒーに救われた経験から、カフェの専門学校に通い、フリーランスのバリスタの道を歩み始めたお人。まろさんは、普段は南海電気鉄道株式会社で働く社員。コーヒーを通じた人と人の場づくりが好きで(ゆえに「場リスタ」と自らを呼称)、会社内でも執務フロアのリニューアルを機に有志と「コーヒー会」を開催し、社内のコミュニケーションを活性化する場づくりに取り組んでいます。2人がこの会のために選んだコーヒーの香りが、優しく漂います。
まろさんの号令で始まったのは、コーヒーの「始給式(しきゅうしき)」。「コーヒーをドリップしてくれる人?」という呼びかけに応えた社員のひとりが、カウンターに立ちます。一緒に働く仲間が淹れるコーヒーを飲むのも、お互いを知る第一歩。皆の視線を集めながら、スムーズにドリップを終えると、会場は温かい拍手で包まれました。
ワークショップ本番が始まる前には、アイスブレイクとして、○×ゲームが行われました。「休日の過ごし方はインドア派?アウトドア派?」「就職するなら定時で帰れる薄給?激務だけど高給?」「優先したいのは食欲?睡眠欲?」と、司会が掲げる問題に合わせて、参加者がドリンク片手に、会場の左右に移動していきます。
お互いの意外な一面を知り、会場の空気と身体が温まってきたところで、いよいよワークショップのスタートです。
モヤモヤへの理想を現実にする、3つのワーク
ワークショップのプログラムは、3つのステップに分かれていました。最初に行われたワーク1のテーマは「CFKで働く『私』として、どんなことにモヤモヤする?」。ランダムに分けられた3、4人のグループで自己紹介をした後、まずは各々、黙々と鉛筆を動かし始めます。
ワークシートを書き終えた後は、自分が思う一番のモヤモヤに丸をつけ、そのきっかけや背景を共有していきました。人間関係についての悩みもあれば、「社内の交流スペースが欲しい」「話しやすい動線にしたい」といったオフィスへの要望まで、意見は大小様々。最初はなかなか鉛筆が動かなかった参加者も、話し合いが始まると「確かに!」「こんなこともあるかも!」と、どんどん前のめりになっていきました。
ワーク2では、話しあったモヤモヤに対して「どうなったら理想的になるだろう?」と考えるステップ。サインペンで付箋に思いを書き込んでいきます。
「知らんけど」マインドを手に入れた若手社員から「こうなったら良いな」という意見が飛び交います。楽しく無責任に考えられるからこそ、1枚、また1枚と、どんどん付箋が貼られていきました。
休憩を挟んで、いよいよ最後のワークへ。これまで出てきた理想を現実に近づけるための、具体的な行動がテーマです。
3つずつグループが集まり、大きな円になって話します。終了時間ギリギリまで、活発に意見が交換され、会場のあちこちでは楽しそうな笑顔が弾けていました。
若手社員から広がる、ポジティブな空気感
3つのプログラムが終わったあとは、ワークショップ全体を振り返りながらのクロージング。司会から感想を投げかけられると、会場からは多くの反応がありました。いくつかの声を紹介します。
「正直、参加する前はどんな雰囲気になるんだろうと緊張していました。でも、ポジティブな意見が多くて、周りの雰囲気も自分の気持ちも、どんどん高まっていくのを感じました」
「相手の趣味や出身など、その人自身のことを知りたいんだなというメンバーが多かったのが印象的でした。これまで、部署内の限られた人としか話すきっかけがなかったので、繋がるきっかけができて良かったです」
「ワークショップにこれだけの人数が集まるということは、それだけ自分の意見を持っている若手が多い証拠だと思います。ワークを重ねてモヤモヤが整理されましたし、逆に新しく生まれたモヤモヤもあります。これを機会に、これからもたくさん皆さんと話し合っていきたいです」
最後に、企画メンバーの一人、入社3年目の並川佳愛(構造系部門トンネルグループ)の挨拶で、今回のワークショップは幕を下ろしました。
「私も一緒にグループに交ざってお話しさせていただき、皆さんがそれぞれコミュニケーションを取っていきたいんだという思いを強く感じました。また、『イベントを開きたい』『コーヒーやキッチンカーをやってみたい』など、ひとつひとつのアイディアにパワーがありました。オフィス環境が変わる今回の機会をきっかけにして、こうした活動を若手からどんどん広げていきましょう!」
数時間前に集まった時の緊張感を忘れるほど、会場で目にする笑顔がどんどんと増えていきました。そして時には、お互いの異なる立場や価値観と歩み寄ろうと、真剣に向き合う姿も見られました。
その様子を見守っていたバリスタチームの2人からはコーヒーのサーバーとドリッパーのサプライズプレゼントが!「コーヒー会を定例化していきたいね」と、早速新しい動きも計画されているそうです。
若手社員を中心に、互いの個性と意見を尊重し、働きやすい環境を一緒につくっていきたい。これからの未来を築いていくU35世代の想いが、確かなかたちになった1日でした。