オフィス環境づくり09:まもなくリニューアル。生まれ変わったオフィスを自分たちらしく活用するための手引きを作ろう

新しい働き方と価値創造を実現するオフィス環境とは、どのような空間なのか。CFKはこの問いに向き合い、2021年から「これからの時代のオフィス環境づくりプロジェクト」を発足。年長者と中堅・若手から成るタスクフォースを軸として、「すべての人のうちにある創造性を信じるクリエイティブ・カンパニー」であるロフトワークと「AR技術を取り込んだ新しいデザイン手法を取り入れ、手を動かし感じながら作る」建築デザインユニットetoa studioをパートナーとして歩んできました。

構想から約4年。2024年8月から1フロアずつ工事が進み、2025年3月末の第1期リニューアル完了を目前に控え、CFK社員が新オフィスを活用していくためのハンドブックを制作中です。本プロジェクトのタスクフォースメンバーが中心となり、外部パートナーやクリエイターと共に、対話を重ねながら進めています。

取材・執筆:藤原朋
写真:小椋雄太

好奇心を刺激し、そっと背中を押すようなルールを作ろう

CFKは、好奇心を大切にした新しい働き方への進化を目指して、2025年4月にリニューアルする1階フロアを「1TTAN(いったん)」と名付けました。明確な目的や理由がなくても「いったん」やってみたいという姿勢を応援する思いが込められています。この思いを社内で浸透させていくためのツールの一つが、現在制作を進めているハンドブック。CFK社員の「いったん」の衝動を促すことを目的としています。

だからこそ、ハンドブックで提示するオフィスの使い方も「こうしなきゃいけない」「これをしてはいけない」など自由を制限するルールではなく、「”いったん”こんなふうに使ってみては?」という提案につながるようなポジティブなルールにしていきたい。そんな意図のもと、2024年10月22日に行ったワークショップでは、タスクフォースメンバー9名と本プロジェクトの外部パートナーであるロフトワークとetoa studio、ハンドブックの制作チームである編集者の濱部玲美さん( 株式会社KUUMA )、アートディレクターのほそかわなつきさん( NATSUKI HOSOKAWA DESIGN )が集まり、一緒にアイデアを出し合いました。

アートディレクターのほそかわなつきさん(左)、編集者の濱部玲美さん(株式会社 KUUMA)(右)
建築デザインユニットetoa studioの住友恵理さん(左)、河合晃さん(右)
リニューアル後のオフィスをVRで体験しながら、イメージをふくらませます

これまでにないシーンが生まれつつある執務エリア

まずは執務フロアについて「好奇心を持って利用するとしたら、どんな姿勢(スタンス)があると良い?」「それを促すポジティブなルールや使い方のアイデアは?」というテーマでディスカッション。濱部さんから「皆さんの共通の認知を広げるルール、遊びや衝動を促すようなルールを一緒に考えられるといいなと思います」との声かけがあり、ワークショップがスタートしました。

まずは一人ひとりがふせんに自由なアイデアを書いて、新たな執務フロアの図面に貼っていきます。7階はすでに完成して活用が始まっているため、それぞれが実際に使ったうえで感じていることも含めて、具体的な声がたくさん挙がりました。

例えば、窓際に配されたカウンター席『ソロダイブ』は、「窓の外に山が見えて、景色が良いので気分転換になる」「他の階を使うと、さらに集中できそう」といった声から、「好きな階でソロダイブ」というルールの案が。カーテン越しに中の様子が見える『ミーティングルームC』は、「心を開いてラフな感じで話しやすい」「気軽な1on1に向いている」などの声があり、「じゃあ、あえて『漏れる雑談をしよう』みたいなルールを作ってもいいかも?」というアイデアが生まれました。

執務フロアの全体像
ミーティングルームC(執務フロア)

執務フロアの中央に配されているハイテーブルに対しては、「みんなが見えるところで模型を作っていると、アドバイスがしやすいのでは?」という声がありました。さらに「図面や資料を『チームミーティング』のモニターに映し出してみると、通りがかった誰かに声をかけてもらえるかも」との意見も。ここから「意図的に置きっぱなしにしよう」「開いて見せよう」など、仕事の途中経過もオープンに共有できるようなルールを作ってはどうかというアイデアにつながりました。

ハイテーブル(執務フロア)
チームミーティング(執務フロア)

「いったん」やってみようを後押しする1階フロア「1TTAN」

続いて、これから施工が始まる1階フロア「1TTAN」についてもディスカッション。「1TTAN」は、社内外の人との出会いや、一人の心の中に生まれる新しい興味やひらめき、好奇心といった内面的な出会いが起きる場所を目指しています。

例えば、交流や談笑、小規模なイベントなどを想定して設けられた『カウンター』。この場所の活用方法として、「園芸部が育てた枝豆を茹でて、みんなで食べるだけでも盛り上がりそう」「立ち飲み屋で会話するみたいに、その人が熱く語れるテーマについてカウンターで話したい」といった具体的なシーンが次々と挙がりました。

「1TTAN」を象徴する場所として、展示やさまざまな企画を行うことをイメージして作られる『パーク』は、「その名前の通り、公園のようにふらっと立ち寄って誰かに出会うような、偶発性のある場所になれば」と期待する声が。雨水を一時的に貯留し、ゆっくりと地中に浸透させる構造を持つ植栽空間『アメニワ』に対しては、「学校の中庭みたいなイメージ。ちょっとした運動や体力測定ができると良いかも」「パターゴルフやモルックができそう」など、防災や雨水排水の目的だけではなくさまざまな形で活用するアイデアが生まれました。

「カウンターが『何かやってみたい』という人の入口になり、そこからステージやパーク、ホンダナといった他の場所に広がっていくと良いのでは?」との声もあり、数人の小規模なイベントから少しずつ人を巻き込んで大きく展開していくような、「1TTAN」の可能性の広がりが感じられました。

1F全体像
カウンター(1F)
パーク(1F)

ハンドブックをきっかけに、もっと自分ごとに

約2時間のワークショップを終え、「皆さんのお話を聞いて、新しいオフィスで生まれる景色はすごく多様になっていくだろうなと思いました。それがさらに広がるようなハンドブックにしていきたいです」と濱部さん。ほそかわさんは「作ったハンドブックの一部をオフィス内のモニターにも掲示するなど、あちこちで目に触れる機会を増やしていくと良いかもしれませんね」と話しました。

さらに、タスクフォースメンバーからはこんな声が挙がりました。

「ガイドラインやルールブックではなく、可能性や選択肢を広げるようなものにしていきたいですね。ただ渡すだけじゃなくて、なぜこれを作ったか、どんな思いを込めたのかを紹介する場も設けたいです」(中矢昌希:計画系部門 技師長 兼 管理総務本部 本部長スタッフ)

「CFKのこれからの働き方やそのための新しいオフィス環境について、社内でまだ十分に浸透していない面もあると思います。このハンドブックをきっかけに、みんなが自分ごとだと思えるように、ちゃんと伝えていきたいです」(菊地佑: 道路系部門 道路第一グループ )

今回のリニューアルで生まれ変わるのは、オフィス環境だけではありません。むしろ、新しくなったオフィスと共に社員一人ひとりのマインドと行動を変化させていくものです。数々の試行錯誤、実験、対話を積み重ねて、2025年4月に迎えるオフィスリニューアル第1期オープン。価値創造につなげる新しい働き方への進化を目指すCFKの挑戦は、これからも続いていきます。

オフィス環境づくりの紹介

オフィス環境づくり01:
新たな価値創造を支える働き方の実現に向けて

CFKが模索する「これからの時代の建設コンサルタント」に求められるオフィス環境に関する中間報告を対談形式でお伝えします。

オフィス環境づくり02:
社内外の共創を生み出すには? 対話を通して空間や仕掛けづくりを考える

社内外の共創を生み出すには、どんなオフィス環境や働き方、マインドが求められるのか。現状における課題や目指すべき方向性を外部パートナーを招いて語り合います。

オフィス環境づくり03:
地域の生態系ネットワークと呼応する、オフィスと都市の未来

ランドスケープ・アーキテクチャー(緑地学)を専門とする増田昇先生(大阪府立大学名誉教授)、本プロジェクトの外部パートナーである住友恵理氏(建築デザインユニット etoa studio 代表)をお招きし、屋上や中庭でチャレンジしたいことを社員と共に語り合います。

オフィス環境づくり04:
大阪中津・西田ビルに学ぶ、自社オフィスを通じてまちを良くしていく覚悟

地域に開かれたオフィスビルを目指し、そのヒントを求め総合ローカルカルチャー施設・西田ビルを訪問。ビルオーナーの西田工業(株)の宇田川さんと、さまざまな取り組みを仕掛ける東邦レオ(株)の久米さんと語り合い、これからのCFKのあり方を模索します。

オフィス環境づくり05:
リサーチから見えてきた、わたしたちの未来の作り方

リサーチに参加した若手社員と、本プロジェクトの外部パートナーである(株)ロフトワークの服部木綿子氏が、各地でどんな気づきを得たのか、今後のプロジェクトや自身の働き方にどう生かすのかを語り合います。

オフィス環境づくり06:
本音を話すことからはじめよう。部門を超えた同世代の繋がりづくり。U35ワークショップ「喫茶シランケド」

自分たちの未来を自分たちの力でつくっていくために、U35世代の社員が自分たちの働き方の現状と理想を語り合うワークショップを企画、開催しました。

オフィス環境づくり07:
これからの仕事と働き方を、私たちが作っていくために。U35「価値創造を噛み砕くロジックモデルワークショップ」

35歳以下の若手が主体となり、U35「価値創造を噛み砕くロジックモデルワークショップ」を実施。会社が掲げている中期経営計画(2022-2024)を自分たちなりに噛み砕き、CFKの未来を考えます。

オフィス環境づくり08:
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』著者・三宅香帆さんと考える、CFKらしい「オフィスの本棚」

書籍『なぜ働 いていると本が読めなくなるのか』の著者・三宅香帆さんをお招きして、「オフィスの本棚」のあり方や運用方法について考えるワークショップを開催しました。

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