オフィス環境づくり02:社内外の共創を生み出すには? 対話を通して空間や仕掛けづくりを考える

関係性をほぐし、一緒にアイデアを育てる。共創を育む土壌づくり

働き方が大きく変化しつつある昨今。CFKは、オフィス環境の変革を通じて価値創造に繋がる新しい働き方と過ごし方を実現するため、「新しいオフィス環境づくりプロジェクト」に取り組んでいます。

今回は、社内のプロジェクトメンバーに加え、本プロジェクトの外部パートナーである建築デザインユニットetoa studioの河合晃さん、「三宮駅周辺デッキ設計プロジェクト」でCFKと協働している安井建築設計事務所の宮武慎一さんをお招きして、意見交換を行いました。

社内外の共創を生み出すには、どんなオフィス環境が必要なのか。そして、その環境を生かすために、どんな働き方やマインドが求められるのか。4人で語り合いながら、現状における課題や目指すべき方向性を模索していきます。

左から順に
松原 加奈子(構造系部門 橋梁・長寿命化グループ)
加藤 慎吾(構造系部門 橋梁・長寿命化グループ プロジェクトマネージャー/技術士(建設部門)))
河合 晃(etoa studio代表/一級建築士)
宮武 慎一(安井建築設計事務所 大阪事務所設計部 設計主事/一級建築士)

領域にとらわれず、みんなでアイデアを育てる

加藤 慎吾
構造系部門 橋梁・長寿命化グループ プロジェクトマネージャー
技術士(建設部門)

加藤:本プロジェクトは、オフィス環境だけでなく働き方も含めて根本的に変えていこうと、2020年夏頃に社内で始動しました。etoa studioさんに外部パートナーとして加わっていただいたのが、ちょうど1年前くらいでしょうか?

河合:そうですね。2021年9月からプロジェクトに参加しました。
 
加藤:河合さんとは歳も近いので、わりと初めから親近感を持っています。宮武さんも同世代というか、僕らとは同い年で大学も一緒なんですよね。
 
宮武:加藤さんとは三宮周辺デッキのお仕事で、2年前のコンペの時からご一緒していますね。コンペの初期段階から、いつも前向きで一緒に考えることが楽しい人だなと感じていました。

加藤:松原さんも三宮のプロジェクトのメンバーで、僕とは4年くらい一緒に仕事をしているのかな。考える根本の部分が近いというか、「あれ、確認しといて」だけで伝わるので助かっています。
 
松原:「あ、あれですね」って(笑)。いつも必死で付いていっています。

加藤:三宮のプロジェクトでは、CFK、安井建築設計事務所、ジェイアール西日本コンサルタンツの3社がJVを組んでコンペに臨みました。でも、「違う会社だから気を使って意見を言えない」ということがなく、フラットに話ができていましたね。僕がこれまでに経験したコンペと比べても、議論する機会が圧倒的に多かったし、密度が高かったと思います。
 
宮武:CFKさんは土木、僕たちは建築という、それぞれの設計範囲や専門分野はありつつも、みんなでアイデアを出し合っていましたね。専門外のことでも、「こうしたい」とか「こういうことはできないですか」と素直に言い合えたのが良かったと思います。
 
加藤:お互いのテリトリーに踏み込まないという分業はしていなかったですね。
 
河合:本来は建築と土木でどんなふうに業務を分担するものなんですか?
 
加藤:三宮周辺デッキで言うと、屋根の部分は建築設計、それ以外は土木設計と分かれているんですけど。基本構造は2本柱にしたいというビジョンや、2階に張り出すスペースを作りたいというアイデアは、誰かが口火を切って、それをみんなで育てていくようなやり方でしたね。 

河合 晃
etoa studio代表 一級建築士

河合:意見交換しながら一緒にアイデアを育てていったんですね。コンペの準備期間は、宮武さんがCFKのオフィスに来られることが多かったんですか?
 
宮武:けっこう来ていました。
 
松原:会議室で数時間こもって打合せをすることが多かったですね。
 
加藤:考えたことを持ち寄って、ここで調整をして、またそれぞれ持ち帰って検討する、みたいな形でしたね。本当は丸1日とか2日、まとまって一緒にいる時間があれば、もっと密度を上げて集中してできるだろうなと思っていました。
 
河合:僕たちが設計事務所と一緒に仕事をする時は、アトリエの僕の席の隣に、設計事務所の人の席を作ったことがありましたね。そうすると、ごはんも一緒に行ったり、僕以外のメンバーとも喋るようになったりして、会議室で話す以上の良さを感じました。
 
加藤:もしかするとCFKの新しいオフィスでは、同じようなことができる余地があるかもしれないですよね。

社内外が有機的につながっていくオフィス

加藤:ここからは新しいオフィスの図面やスケッチを見ながら意見交換できればと思うのですが、河合さんから説明してもらってもいいですか?
 
河合:はい。今僕たちは、「自然に混ざり合う、豊かな土」というコンセプトを掲げて、オフィスづくりを進めています。土の中で生き物が動き回ることで土が豊かになるように、誰かと雑談できる場やまちの人たちとつながる場を設けることで、社内外の有機的な関係を作れないかと考えています。
 
執務空間には、フロアの住民が交流できる「タムロ」、チームで一緒に作業したり議論したりできる「チームワーク」、一人で没頭できる「ソロダイブ」というスペースを設けています。「チームワーク」には長さ12mの大きなテーブルを8枚並べて、自由な使い方ができるようにしました。

CFK大阪本社執務フロアの基本設計(案)とゾーニング
松原 加奈子
構造系部門 橋梁・長寿命化グループ

河合:今のオフィスはフロアごとにレイアウトがバラバラで、自由なのは良いんですけど、みんなが違う方向を向いているような印象があったんです。大きな机を並べて統一感を出すと、風景としても美しいし、自由なんだけどみんなが同じ場にいるっていう一体感が生まれるんじゃないかと。
 
松原:確かに今は本当にバラバラなんですよね。5階には水槽があったりとか(笑)。普段オフィスを使っていて特に不満はないんですけど、例えば学生が来て社内を案内した時に、「この会社に来たら楽しく仕事できます」っていうのをビジュアルで表現できているかというと、今はそうではないかもしれません。

CFK大阪本社1階の基本設計(案)に対するブラッシュアップ

河合:1階は社外の人を招いたり、地域に開く場に変えていきたいと思っています。本棚や展示スペース、気楽にレクチャーができるスペースなどを設けて、もっとカジュアルな空間にしたいと考えています。
 
屋上は、今は社内の人たちがほとんど使っていない状態なので、まずは印象を大きく変えたいですね。例えば、8階の中庭から屋上に上がれる階段を作って、中庭を介したほうが行きやすいんじゃないかなと。庭を見ながらごはんを食べたりできる場所があるのはオフィスとしては珍しいし、8階には社長室や役員会議室もあるので、社内の距離感を縮めたり一体感を生み出したりできる場にしたいですね。
 
加藤:8階はめっちゃポテンシャルが高いんですよね。

宮武:1階や8階、屋上の使い方は僕も共感が持てて、すごくいいなと思いました。僕も最近、某オフィスの移転リニューアルのコンペで、社内の動線をあえて長くして偶然の出会いを増やすとか、1階をオープンにしてまちに開いていくという提案をしたんです。
 
河合:ちなみに宮武さんの会社では、オフィスをまちに開くような取り組みはされていますか?
 
宮武:大阪事務所では、地域の音楽コンサートを1階のロビーで開催したり、「イケフェス」という建築イベントでも社内を開放し、設計プロジェクトの紹介をしたりしながら、建築とまち、建築と一般の方をもっとつなげようと取り組んでいます。まちに開いていこうという思想が根付いているように思います。

宮武 慎一
安井建築設計事務所 大阪事務所設計部 設計主事
一級建築士

河合:CFKさんの周辺では、まちのお祭りや地域の活動とかは?
 
加藤:あまり聞いたことないですけど……。例えばお隣の保育園じゃないですかね。一緒に七夕祭りをしよう、みたいなことを企画してみるとか。
 
宮武:子ども向けのワークショップも良いかもしれませんね。木や紙で橋を作って「どんな橋が強いでしょうか」とか「こういう形にすると強いんだよ」とか、面白そうですよね。

受発注ではない関係が生まれる土壌づくり

加藤:社外の人を呼び込む、まちに開いていくという話が出ましたが、外からの刺激の意味や価値について、CFKのみんながピンとくるわけではありません。。普段から社内でもいろんな人と混じり合って、みんなでアイデアを育てていく土壌を作っていないと、社外の人と単なる受発注の関係になってしまって、共創が生まれにくいと思うんですよね。
 
河合:今後新しいオフィスで、その土壌をどうやって作っていくかですよね。普段抱えている業務もある中で、「社内外の人ともっと関わろう」「新しいことをやってみよう」という気持ちをどうやって育んでいくのか。
 
加藤:会社が与えてくれる機会をうまく使うと、いろんなものに触れる機会っていっぱいあるんですよ。僕はそこに飛び込むタイプだから、触れるものが増えた。そうじゃない人の素地を、新しいオフィスで作れたらいいですね。
 
宮武:僕自身も「みんなで一緒に盛り上がろう」みたいなことが好きなタイプだし、社内外でいろんな活動をしていますけど、そうじゃない人をどう巻き込むかっていうのは永遠の課題かもしれませんね。

松原:私の場合、最初のとっかかりは、巻き込まれてとりあえずやってみる感じかもしれないです(笑)。初めは自分ごとに感じられない人もいると思うんですけど、巻き込まれて関わる人が増えていったら、そのうち乗り気になるんじゃないかと。
 
宮武:土壌づくりができる場や仕掛けが必要で、でもそこがやっぱり難しいんでしょうね。知り合いの会社では、社内にフィットネスやビリヤード台があっても、実際は全然使っていないという話も聞きますし……。
 
河合:卓球台とかもよく話には出るんですけど、実際やるのかなって。
 
宮武:やらなさそうですよね(笑)。でも逆に、狙っていないのに「タムロ」のような使われ方をしている場所もあって。僕の会社でも、別に交流の場として作られたスペースじゃないけど、たまたま会って雑談をしたり、上司には聞きづらいことを偶然会った先輩に質問したり、ということが起こっている場所があるんですよ。
 
加藤:人間って意図しない使い方をするんですよね。意図しないことが起こるのを期待して、余白を残しておくのが良いんでしょうか。
 
宮武:作り込みすぎないっていうのはある気がしますね。

関係性をほぐすために、必要な仕掛けとは?

河合:今回お話していて、やっぱり空間だけじゃなくて、例えば展示やイベントなど、ソフト面もセットで考えていくともっと良いんだろうなと、改めて思いました。関係性をどうやってほぐしていくかが大事なのかなと。 
 
加藤:オフィス環境プロジェクトに参加しているメンバーは、社内外の共創に慣れている人たちだと思います。ここからもうちょっと輪を大きくして、ほぐしていきつつ、社内で広げていくことが必要なんでしょうね。
 
例えば今社内でやっている会議の場をいったん1階に移して、ちょっと慣れてきたら、次はイベントをやって、というふうにステップを踏んでいかないといけないのかもしれない。「タムロ」も、執務空間の手前にあることで、みんなが通ったり視界に入ったりして慣れていけるのが良いと思うんですよね。
 
宮武:いろいろ議論して今の形になったんだと思うんですけど、僕が設計するなら「タムロ」と「チームワーク」を混ぜそうな気がするんです。あえてエリアとして分けているのはどういう意図だったんですか?
 
河合:途中段階では、宮武さんがおっしゃったように「タムロ」を分散するパターンも作っていたんです。でもやっぱり「チームワーク」のスペースを広く取ったほうが作業しやすいというご意見もあったので、使い勝手を考えて今の形になりました。

CFK大阪本社執務フロアの基本設計(途中段階の案)

加藤:きっと「タムロ」がどこにあったとしても、余白の部分で自由な使い方ができるかどうか、それが起こるか起こらないかにかかっているような気がします。せっかく「タムロ」を作ったのに、会議ばっかりして全然タムロせぇへん、みたいにならないように(笑)。やっぱり、上司やリーダーが積極的に「タムロ」に行って、余裕感を出していかないとダメですよね。誰かが「タムロ」で率先してサボってあげないと。
 
松原:それ大事ですね(笑)。若手も「自分も使っていいんだ」って思うだろうし。意識的にそういう働きかけをしてもらえると、浸透しやすいと思います。
 
加藤:これからは、社内外問わず自然と共創が生まれるように、仕事時間の中にも積極的にオフの時間を作っていきたい。新しいオフィスには、そのための仕掛けを空間の中に散りばめたいですね。例えば1階や各フロアに、場の中心となる仕掛け役というか、「女将さん」的な人がいると良いかもしれない。共創の文化が社内に馴染むまでは、そういう役割も社員で担っていく必要がありそうですね。

オフィス環境づくりの紹介

オフィス環境づくり01:
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オフィス環境づくり04:
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地域に開かれたオフィスビルを目指し、そのヒントを求め総合ローカルカルチャー施設・西田ビルを訪問。ビルオーナーの西田工業(株)の宇田川さんと、さまざまな取り組みを仕掛ける東邦レオ(株)の久米さんと語り合い、これからのCFKのあり方を模索します。

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オフィス環境づくり07:
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