橋梁模型製作 コンテスト2018への挑戦

模型製作の様子
中邨 亮太NAKAMURA Ryota
構造系部門
橋梁・長寿命化グループ

これはTeam-CFKの優秀賞受賞までの軌跡である

橋梁模型製作コンテストとは、日刊建設工業新聞社、(一社)近畿建設協会が主催する建設技術展2018近畿の恒例プログラムで、2018度は10月24日(水)、25(木)の2日に渡りマイドームおおさかで開催されました。

CFKは初回から15年連続で出場する唯一のチームで、今年もTeam-CFKとして若手中心のメンバーで参加しました。

橋梁模型製作コンテスト(会場製作部門)は、1チーム3名の構成で当日支給される材料を用いて橋長1.0mの橋梁模型を2時間で製作し、デザイン性・技術度・完成度・経済性(軽さ)・1分間の載荷試験(重り25㎏)による耐荷性能で競うもので、今年は全15チームが参加しました。

ここではTeam-CFK結成から優秀賞受賞に至るまでの軌跡を紹介します。

Chapter1 Team- CFK結成

Team-CFKは、中邨亮太(2011年度入社)、木下貴史(2018年度入社)、藤田侑子(2018度入社)の3名で7月に結成されました。活動スケジュールや大会要領、実際の使用材料、CFKの過去の作品を確認し、最優秀賞受賞を目標に設定しました。

CFKは過去15度の出場経験があり、昨年度は優秀賞も受賞しているものの、メンバー自身は初めての橋梁模型製作コンテストへの出場であるため、期待と不安を抱えながらTeam-CFKは始動しました。

Chapter2 構想・コンセプト出し

7・8月は、1~2週間に1度、製作する模型の構想・アイデア・コンセプトを各自持ち寄って議論を繰り返しました。

そして、たどり着いたコンセプトが「適材適所」です。適材適所はその人の適性・能力に応じて、ふさわしい地位・仕事に就けるという意味で使われている言葉ですが、その語源は、古くからある家屋や寺社などの建築現場での木材の使い分けから由来します。

家屋や寺社だけでなく歴史のある橋梁は、適材適所な材料の使い分けにより“強さ”と“自然な美しさ”を実現していると考えました。メンバーそれぞれがこの言葉を気に入り、今年は「適材適所」をコンセプトに、“強さ”と“自然な美しさ”を兼ね備えた橋梁の実現を目指すことにしました。

Chapter3 模型の試作・改良

1 落橋した試作第1号機

製作する橋梁模型の構造は、後に示す写真2、3のように適材適所な部材配置ができると考えられる張弦橋とし、この橋に適材適所の英訳「Right people,Right place」をもじって「Right wood,Right place」と名付けました。

9月からは実際に模型の試作に着手したが、初めからそう簡単にうまくいくはずがなく、2時間の制限時間の倍以上を要して製作した試作第1号機は、本番で載荷される25kgにも耐えられず落橋に至りました(写真1)。初めて自分たちで製作した橋の落橋を目の当たりにしたショックと残り1カ月で本当に時間内に25kgに耐えられる橋を製作できるのかという不安でいっぱいになりました。

2 ホワイトボードに書き出したメモ

この状況を乗り越えるため、練習の時間や頻度を増やし、部材の寸法や加工・製作方法等を書出す(写真2)など模型の強化・改良・時短のトライアルを続けました。

その結果、「Right wood,Riht place」は25㎏に耐えられる“強さ”と“自然な美しさ”を持つ適材適所というコンセプトどおりの橋梁となりました。

“強さ”の面では、主構造には2本重ねた角材を用い、上面に曲げ加工することで剛性を高め圧縮への抵抗性を向上させました。下弦材には竹ひごを適用し、発生する引張力に応じて支間中央から端部にかけて配置を変化させました。

“自然な美しさ”の面では周囲の景観にとけ込む透過性と橋面と下弦材が丸みを帯びた自然で美しい側面デザイン(写真3)、鉛直材と斜材が折り重なることで立体感や陰影を造形し、自然に奥行きを感じられる断面デザイン(写真4)を実現しました。

また、「適材適所」のコンセプトのもと構造の無駄をなくし製作手間を縮減したこと、練習を何度も繰り返したことで2時間以内に模型を製作できるようにもなりました。

3 模型の側面デザイン
4 模型の断面デザイン

Chapter4 橋梁模型製作コンテスト本番

迎えた本番初日は模型製作に取組みました。事前練習で自信をつけたものの、多くのギャラリー、テレビ取材など本番独特の雰囲気にチームに緊張感が漂います。少々のトラブルはあったものの模型製作が始まると徐々に集中も増し、練習どおり時間内に完成することができました。

2日目には、載荷試験が行われました。落橋してしまうチームもある中、Team-CFKは1分間の載荷に耐えることができました。この時の安堵感は表現のしようがないものでありました。

Chapter5 優秀賞受賞!!

表彰式の様子

載荷試験を終え、審査結果が発表されるまでの時間を期待や不安、緊張などを抱えながら待つTeam-CFK。

しかし、その瞬間、メンバー一同が嬉しさ、達成感で満たされました。審査の結果、目標だった最優秀賞は逃したものの、Team-CFKは優秀賞を受賞しました。

優秀賞を受賞できたことで、4カ月間努力を続けてきたことが報われました。また、橋梁を設計する技術者としての自信にもつながりました。

感想と後輩に向けたメッセージ

中邨 亮太(2011年度入社):構造系部門 橋梁・長寿命化グループ
準備段階では苦労もありましたが、3人で試行錯誤し、アイディアや工夫で壁を乗越える過程が楽しかったです。次回のメンバーは未定ですが最優秀賞受賞に向け、今回得られた知識、技術はしっかり次回に引継いでサポートしたいと思います。

木下 貴史(2018年度入社):構造系部門 橋梁・長寿命化グループ
今回の取り組みで、メンバー全員で話し合いながら一つの完成形を目指す楽しさ、第三者を交えたレビューの大切さを感じることができました。これは実務も同様だと思っており、よい経験になったので興味があればぜひ参加してみてほしいです。

藤田 侑子(2018年度入社):鉄道系部門 鉄道グループ
私は新入社員なので橋梁についての知識はあまりありませんでしたが、今回の橋梁模型製作コンテストを通して楽しく学ぶことができました。橋梁について詳しくなくても大丈夫なので、是非参加してみてください。

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