
OKUNO Tomohikoi
環境・防災系部門 地盤・防災グループ プロジェクトマネージャー
近年、豪雨などによる河川災害や土砂災害が頻発しており、全国各地で多くの災害が発生しています。高山国道管内においても、平年比300%近い降水量が平成30年および令和2年7月豪雨で発生し、多くの災害が発生しました。
地盤・防災グループでは、平成25年より高山国道管内防災点検設計業務を継続受注しており、度々災害対応を実施しています。ここでは、3年間で2度も発生した「高山国道管内の豪雨災害」の被害発生から災害復旧についての活動記録を報告します。
平成30年7月豪雨の概要
平成30年7月豪雨では、2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で降雨が継続し、長時間雨量において各地で史上1位の記録を更新しました。飛騨地域においても、多くの地点で観測史上1位の雨量を更新し、広範囲において土砂崩れなどの多くの災害被害が発生しました。高山国道事務所管内においては、全域において多くの土砂流出による道路災害が発生しました。

図1 平成30年7月豪雨による土砂流出

図2 令和2年7月豪雨による道路流出

図3 防災ドクターに国交省副所長と説明



令和2年7月豪雨の概要
令和2年7月豪雨では、2020年(令和2年)7月3日から7月31日にかけて、日本付近に停滞した前線の影響で、暖かく湿った空気が継続して流れ込み、各地で大雨となり、人的被害や物的被害が発生しました。
岐阜県周辺では6日から激しい雨が断続的に降り、7日から8日にかけて記録的な大雨となり河川災害や土砂災害が発生しました。飛騨川氾濫により、高山国道が管轄している国道41号下呂市門坂において約500mに道路流失が発生をはじめ、高山下呂管内において砂災害および冠水被害が発生しました。
TEC-FORCE*よりも早い現地確認
(1)豪雨予測時の事前臨場待機
防災点検業務においては、事前通行規制雨量を超えた場合、異常豪雨後点検として、変状や災害の前兆を把握するため、点検を行います。そのため、基準雨量を超えそうな豪雨が予測される場合、速やかに点検できるように、管理技術者及び担当者が前日より高山国道管内にて待機するように心掛けています。
(2)被災後、数時間で現場へ
2018年(平成30年)は、7月4日より現地入りしていましたが、7月5日未明から8日にかけて連続的に豪雨となり、計11箇所の土砂災害が発生しました。いずれも土砂災害後数時間で現地確認を実施しています。
2020年(令和2年)は、7月7日に現地入りしてましたが、7月8日の早朝に門坂の道路流出を含む7箇所にて災害が発生し、雨が小康状態となった昼頃に現地確認を実施しています。
時間が勝負の現場対応
(1)迅速な応急復旧対策の提案
災害対応は、復旧等の緊急対策を迅速に行うため、速やかに現場調査を行い、応急対策を立案する必要があります。被災規模にもよりますが、被災翌日には応急対策が実施されます。そのため、調査後、早急に応急復旧対策を立案することが必要です。
(2)速やかな原因究明および災害申請
並行して原因の究明と恒久対策、災害申請資料を作成します。平成30年および令和2年7月豪雨においては、追加で2班(4名)の応援部隊を要請し、被災翌日より調査を実施しました。数日以内には、災害申請資料を提出する必要があるため、非常にタイトなスケジュールでした。
災害対応は大変だが、勉強になる
高山国道管内防災点検設計業務では、この3年で2度も豪雨災害を経験しました。国家プロジェクトとして、国土強靭化緊急対策が実施中であり、建設コンサルタントは重要な役割を担っています。災害対応は、時間との勝負となる過酷な業務ですが、災害対応を知ることは構造物設計や調査の実施に際し、貴重な経験となるはずです。CFKでも、緊急臨場に対応するため全社的災害対応プロジェクトを2020年(令和2年)6月に立ち上げました。一人でも多くの技術者が参加することで貴重な経験を共有していきたいです。
【注釈】
*TEC-FORCE:国土交通省職員による緊急災害対策派遣隊
【参考資料】
1) 気象庁ホームページ