繋がりが繋がりを生む

価値創造=個人のこだわり・専門性

私の考える「価値」とは、個人のこだわりや専門性、興味・好奇心が創造するものです。そして、それらは、個人の経験がルーツとなって醸成されるものです。つまり、個人のルーツとなる価値観をもとに何か新しいものを生み出すことが個人としての「価値創造」であると考えました。

これらは、2023年度に通常業務に加えて、ドイツへの海外視察や、オフィス環境TFに係る活動(他分野への共同リサーチ(写真1)、U-35ワークショップ(写真2)等)に参加し、多くの社内外の人達と繋がれたことで得た答えです。

1 オフィス環境TFでの共同リサーチ
社内外の人達と会話する機会に

2 第1回U-35ワークショップの様子
普段話すことのなかった人がどのような人なのか知ることのできるきっかけとなった

建設コンサルタントの価値創造

CFKは、建設コンサルタントです。建設コンサルタントは、個人ではなく集団としての成果が求められます。つまり、私の考えた個人としての価値創造だけではなく、集団としての価値創造が求められる仕事です。

つまり、それぞれ異なる専門性や、こだわりを持った個人と個人が密接に繋がり、集団としての価値を創造することで、より良い成果を生み出す仕事なのだと思います。

このことを強く実感できた業務があります。2020年から2年間かけて実施した地すべり観測・解析業務です。

繋がりが創造した業務

私が2023年度まで所属していた地盤・防災グループは、次の4チームに分かれています。
①岩盤調査や水文調査を主に行う地質チーム
②土砂調査や地盤解析を主に行う土質チーム
③砂防設計を主に行う砂防チーム
④防災設計や防災点検を主に行う防災チーム
ほとんどの業務は、チーム毎の専門性を発揮するためチーム単位で履行しています。一方、当該の地すべり観測業務は、管理技術者の金村統括リーダーと地質チームの木山チームリーダーに加え、土質チームの菊地と渡邉職員、砂防チームの堀川職員、防災チームの川原職員の4名の若手職員が主体となり、チーム横断型の実施体制を取っていました(写真3)。

3 金村統括リーダー、木山チームリーダーと若手4名での現地確認
移動を含めコミュニケーションの場となった

業務内容は主に、道路に面する地すべりの変状の把握を目的とした定期観測とそのデータ整理・解析を2年間実施することです。さらに、調査地付近で落石や土砂流出等の道路災害が発生した場合の緊急対応や、豪雨災害被災時の雨量指標分析、地すべりの面的な挙動を把握するための衛星干渉SAR解析などの作業を実施していました。この多岐にわたる業務内容を実施するとき、チーム横断型の実施体制は最適なものでした。

普段の解析業務や観測業務等の経験でデータ整理に慣れた渡邉職員が観測結果のとりまとめやグラフ作成等の定期観測に係る部分を担当し、雨量指標を用いた分析は他業務で同様の分析を実施した経験がある菊地が担当しました。また、防災業務を専門とする川原職員が緊急時の対応やそのとりまとめ等を、測量関係を得意としている堀川職員が衛星干渉SAR解析を実施しており、適材適所と言える体制とすることでそれぞれの専門性を発揮しながら業務を実施することができました(図4)。加えて、担当者間でコミュニケーションを密接に取ることで、情報共有や、質問をし合うなどしながら進めていました。

4 業務実施内容と担当者配置

業務での成果

業務のなかで、集団としての価値創造がより発揮された場面が幾度かあります。

1つは、2022年8月の豪雨発生時です。豪雨発生当初、当該地付近では、土砂災害や道路の法肩崩壊などが発生しており、当該地においても地すべりの変状が拡大する危険性がありました。そのため、豪雨発生前より現地で待機していた金村統括リーダーが至急現地確認を行うとともに、残りのメンバーで緊急点検実施のための体制を即座に整えるなどの対応を実施し、地すべりの変状がないことを即座に確認しました。日々、観測結果についてディスカッション行い、地すべりに対する危機感を共有していたこと、密に連携を図っていたことが、緊急時の迅速な対応に繋がったと考えています。

この他にも、多角的な視点による観測結果や干渉SAR解析結果の評価や、観測結果を踏まえた今後の観測方針の検討等、繋がり持った集団として業務に取り組んだことで、当初の特記仕様書で求められる以上の成果を完成させることができ、事務所長表彰を受賞という結果につなげることができたと考えています。

個人的価値創造から集団的価値創造へ

5 社内打合せの様子
若手を含め活発にディスカッション

集団としての価値創造の必要性を実感した業務として、地すべり観測・解析業務を例に紹介しました。この業務の中で集団としての価値創造に繋がった最も重要な要因は、専門性等の個人の価値を発揮できるよう適材適所に配置できたことではなく、担当者間の繋がりであると思います。当時入社1年目から4年目までの若いメンバーが主体となっていたので、普段から業務外のコミュニケーションを取っていました(写真5)。その結果、あらかじめ互いの人となりや専門性への理解、信頼関係の構築ができており、業務でのスムーズな連絡体制や議論の活性化に繋げられたのだと考えています。若手職員以外の金村統括リーダーや木山チームリーダーについても、普段から業務以外の話題でのやり取りがあるため、同様のことが言えます。日常のコミュニケーションがあるからこそ、業務の中でのコミュニケーションがより良いものへとなっていました。加えて、集団として共通の興味(危機意識)が、互いの繋がりをより強いものにし、客先にとっての価値ある成果(集団的価値創造)として評価されました。

繋がりを生むコミュニケーション

私が集団としての価値創造、建設コンサルタントとしての価値創造に最も必要だと考えているのは、人と人の繋がりです。そして、繋がりは、コミュニケーションが生み出すものです。私自身は人と対話することを大切にしています。業務内外を問わず気になったことがあれば質問するようにしているし、たまにしか会えない人には会えた時に積極的に声をかけたりもします。これは私自身のこだわりの一つになっているのだと思います。そして、そのこだわりのルーツは、私のどんな些細な疑問や誤りに対しても誠実に対話をしてくれた上司や、何気ない話題でも聞いてくれた友人・同期などの周りの人々です。そういった人達に感謝しつつ、今後も人と対話すること、人と繋がりを持つことを大切にしていきたいです。また、普段の業務や、オフィス環境TFの活動などを通して、人と人が繋がりを持ち、自然と集団としての価値創造が可能となる空気・環境造りの一助となれるよう努めていこうと思います。

菊地 佑
KIKUCHI Yu
道路系部門
道路第一グループ

特集「価値創造」

CFKの35歳以下社員を対象にこだわりや価値観についてヒアリングし、その声をたどりながら執筆メンバーで座談会を実施しました。それぞれの考えや価値観、目指す姿について語り合いました。

若手座談会:価値観が違う? そこから芽吹く新たな価値

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