新しい橋を架けるプロジェクトは、構想から計画、設計、施工を経て完成に至るまで、長い時間を要します。
橋梁模型製作コンテスト(以下、模型コンテスト※)は、こうした橋づくりのプロセスを短期間で体験できる場です。計画・設計・施工をすべて自分たちで担い、構造検討や図面作成、製作までを一貫して行います。限られた条件の中で試行錯誤しながら模型を完成させていく過程は、いわば「土木プロジェクトの縮小版」といえるでしょう。模型コンテストでは、自分の考えた設計や判断が結果として表れるプロセスを体験でき、この挑戦は、若手社員が技術者として成長していくための大きな一歩となります。
CFKではTeam-CFKとして第1回から毎年模型コンテストに参加してきました。例年は大阪本社のメンバーのみで取り組んできましたが、今回は東京本社の若手社員によってチームを結成。模型づくり(材料の切断や接合方法など)や橋梁に関する知識が十分でないメンバーもいる中でのスタートでした。
ここでは、模型コンテストに挑戦する中で注力した点や、模型製作の面白さ・難しさについて紹介します。
※模型コンテストは、「建設技術展近畿」の主要プログラムの一つであり、1チーム3名の製作者が、当日支給される材料から橋長1000mm、木製の橋梁模型を120分以内に製作し、下表に示す審査基準に対して出来栄えや強度を競う模型コンテストです。
◆加点項目

◆減点項目

建設技術展2025近畿橋梁模型製作コンテスト実施要領より抜粋
“翼“の橋との出会い
まずは、橋のデザインを決める必要があります。
8月中旬のキックオフでは、メンバーそれぞれが現実にある橋の中から「こんな橋がつくりたい!」と思うものを持ち寄るところから始めました。デザインイメージを描いたり、先輩社員から模型としての実現性について意見を頂いたりしながら、デザイン案を絞っていきました。
最終的なデザインは、上部に2本のアーチ、下部中央に張弦構造を用いた形となりました。
表現するコンセプトは“若手が成長し、社会で活躍する“思いを込めた、”翼“を象徴する橋です。コンセプトにふさわしい名前として橋梁名は「The Wing」としました。
2本の外側に傾いたアーチで、鳥が飛び立つ直前の翼の形を表し、その形状はアーチと張弦構造を融合させたものであるため構造的にも合理的な橋となっています。
“翼”の橋がカタチになるまで ―トライ&エラー ―
模型の形式が決まってからは本番まで残り1か月半しか残されていませんでした。そのため、とにかく「トライ&エラー」を重ねて進み続けました。模型の構造検討→模型製作→載荷試験→改善のサイクルを、時間が許す限り繰り返します。
製作1号橋
上部アーチ2本と下部中央の張弦材で断面V字形状(=翼)を表現しています。
(載荷試験結果)
・15kgアウト:アーチ部が横に倒れる
製作2号橋
1号橋の改善を踏まえてパワーアップしたモデルです。V字断面を見せるためには、2本のアーチをつなぎたくなかったのですが、壊れてしまっては仕方が無いので、まずは荷重に耐えうる形状を探ります。
(改善点)
・主桁の接続部を添え木で補強
・上横材で2本のアーチをつなぐ
(載荷試験結果)
・20kgクリア
・25kgアウト:アーチ部が座屈
製作3号橋
本番は25kgに耐えなければならないので、まだ挑戦は続きます。2号橋の失敗を踏まえて上部アーチの断面を木材3本重ねてL 字型とし、さらにアーチと主桁の接合部も補強しました。
(改善点)
・アーチの断面を3本重ねてL字型にする
(載荷試験結果)
・25kgクリア!
大会当日
ギリギリの模型製作
練習段階では2時間以内に模型を完成させることができませんでしたが、本番直前まで工程表をブラッシュアップすることで作業効率を上げ、無駄のないよう動きました。見栄え(細部)にこだわったことで残り時間7秒とギリギリでしたが、何とか模型を完成させることができました。
ドキドキの載荷試験
載荷試験前のアピールタイムでは、本橋の特徴である“翼”を最大限アピールし、載荷試験では、25kgの重りを載せて1分間耐えることができました。
載荷試験の様子は以下から視聴できます。(45分46秒から)
↓↓をクリック↓↓
建設技術展2025近畿 橋梁模型製作コンテスト 会場製作部門・学生部門載荷試験(You Tube)
仕上げの美しさを評価いただき優秀賞を獲得することができました。
参加者の声
道路系部門
橋梁・長寿命化グループ
チーム結成当初は、本番までに本当に間に合うのかと正直不安でしたが、意見を出し合いながら試行錯誤を重ねる中で少しずつ形になり、チームの結束も強まりました。結果として優秀賞を受賞でき、大きな達成感を得ました。載荷試験では部材が引張や座屈で破壊する様子を目の当たりにし、大学で学んだ構造力学を実体験として理解できました。今回の経験を今後の業務に活かしていきたいです。
鉄道系部門
東京鉄道グループ
計画した構造物をうまく形にできるか不安もありましたが、載荷試験では25kgに耐えることができ、また優秀賞をいただくことができてとても嬉しかったです。実際に載荷し、破壊挙動を観察する機会はなかなかないため、自分のイメージをより明確にすることができとても有意義な時間でした。今後の構造物の設計でも今回の経験を活かしていきたいです。
計画系部門
事業創生グループ
短い期間でしたが、ゴールを見据えて計画を立て、チームで試行錯誤と議論を繰り返してより良いものを作り上げていく過程を一気通貫して経験できました。この1年目ながらも主体的にプロジェクトを進められた経験を糧に、技術者として成長していきます!
道路系部門
橋梁・長寿命化グループ
限られた時間の中でモノを作ることの難しさを改めて知りました。計画通りに行かないときに工程や作業の見直し、周囲と連携して分担するなど、前に進む方法を学ぶことができ、良い経験となりました。もがきながらも前に進んで一つのカタチに仕上げた経験は、今後の業務でも活かしていきます。来年は最優秀賞の受賞を祈っています!











