「人の動き」をビッグデータから読み解く

ビッグデータとの係わり

和田 翔
WADA Sho
計画系部門
事業創生グループ

近年のビッグデータの進展に伴って、一定の精度をもって人の動きの連続的な観測が可能となってきています。この社会的背景から、CFKは『ビッグデータ利活用プロジェクト』(以下、プロジェクト)を立ち上げ、各種取組みを進めています。

私もプロジェクトメンバーの一員として、これまではETC2.0プローブ情報や自動車の加速度センサーなど、主にクルマ関係のビッグデータを主な対象としていました。

他方、まちなかでは「クルマから人」への空間構築・再編に向けた動きが近年活発化しています。このことから、もっと「人の動き」に着目した分析ができないか、という思いを抱いていました。

自主研究への参画

ビッグデータ利活用プロジェクトでは、かねてより「イベントなど平時と異なる人の動きを把握することによる新たなサービスの創出」を主要テーマの1つに掲げています。その折、NTTドコモの携帯基地局運用データから生成されるビッグデータが、エリア限定で、従来よりもさらに細分化されたメッシュ ( 最小500m ⇒ 125m ) での分析が可能となりました。

「細分化されたデータを有効活用し、新たなサービスに結び付けられないか」との期待から、自主研究を立ち上げることとなりました。ここで、着目されたのが、近年社会問題化していた「渋谷ハロウィン」です。

2018年には、渋谷ハロウィンの喧騒の中で、群衆が軽トラックを横倒しにし、逮捕者が出たことが全国的なニュースとなったことは記憶に新しいです。渋谷ハロウィンを題材とした自主研究がスタートする2019年春のタイミングで、私が東京本社に赴任することとなり、メンバーに参画しました。この研究に参画するまで、私にとっての渋谷ハロウィンの喧騒は「ニュースの中だけの世界」でした。これほど多くの人が仮装して集まっているのは「東京ならでは」の光景です。

ビッグデータからみた渋谷ハロウィン

1 渋谷駅周辺の人の集中
1 渋谷駅周辺の人の集中

ビッグデータの分析によって、2018年のハロウィン当日は「ごく限られたエリアにおける20代以下の限られた年代の過度な集中」、「終電後の深夜の時間帯には、平時の5倍ほどの滞留の存在」等が明らかになりました(図1)。

東京に住んで間もない自身にとっては、平時を超える人波の中で、終電過ぎまで滞在することを想像するだけで頭が痛くなりそうですが、それほど渋谷ハロウィンは若者にとって魅力的なイベントなのでしょう。

2019年 渋谷ハロウィンを訪れて

2 渋谷ハロウィンの様子
2 渋谷ハロウィンの様子(2019.10.31)

2019年10月31日、仕事終わりに人生初の渋谷ハロウィンへと足を向けました。

前年ほどの人出はないという事前情報を得ていたものの、21時頃のスクランブル交差点周辺は人で溢れかえり、もみくちゃの状況でした。印象的であったのは、予想以上に外国人の滞留者が多かったことです。データ精度の観点から、今回分析では、訪日外国人は対象外とせざるを得なかったことが心残りです。

今後に向けて

これまでの研究では、メッシュが細分化されたビッグデータを活用し、渋谷ハロウィンの人の滞留行動の実態把握を行いました。

さらに人の移動を詳細に(メッシュの小ささ・時間間隔の短さなど)把握することができれば、施策検討に向けたポテンシャル把握や施策効果への分析の活用も可能と考えられます。

「人の動き」に着目した本自主研究の成果をプロジェクト全体に展開しながら、新たなサービスの創出に向けた検討を、メンバー協働のもと進めていきたいです。
 

【参考資料】
1)横井 和樹・松島 敏和・和田 翔:モバイル空間統計を活用した渋谷ハロウィンのモニタリング、第60回土木計画学研究発表会・秋大会、2019

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