多様なニーズに対応した道路技術の道のりと明日

道路技術の道のり

高速道路網計画14,000㎞は、2015年度末現在11,266㎞が供用を達成し、CFKも創立以来複数の路線整備に貢献してきました。その間CFKの道路計画設計技術は、多様なニーズを取り込み、高速道路からコミュニティ道路、JCTやSA・PAからスマートIC、駅前広場から大規模交通ターミナルなど、線から面、道路空間から立体的空間へと技術領域を拡大しています。また、社会インフラが維持更新時代を迎える中、道路分野でも道路施設の維持管理や防災計画への取り組みを始めています。

道路を形成する主要な構造物である山岳トンネルの技術も、山岳部のみならず都市部への活用が広がり、重要構造物との近接施工や大断面のJCTトンネルの設計など、高度な技術が要求されています。また、これらのトンネル等の社会インフラ整備に必要な施設電源、照明、防災機能を発揮させるべく、各種電気通信機械設備の計画設計にも積極的に取り組んできました。

道の計画・道の設計

1 阪神高速道路三宝JCT(湾岸線~大和川線接続)1)

道路関係4公団の民営化(2005年)や新直轄方式の導入(2006年)により、整備・管理手法がこの10年前後で大きく変化しました。地方部では地方創生や地域活性化が道路整備のテーマとなり、都市部では首都圏3環状をはじめとする環状ネットワークの整備や都市高速老朽化に対する大規模更新の具体化が主題となりました(実績:紀勢線、圏央道、外環道、首都高都心環状線、阪神高速大和川線(写真1)、淀川左岸線など)。

阪神淡路大震災(1995年)以降も東日本大震災(2011年)、紀伊半島大水害(2011年)、熊本地震災害(2016年)などの自然災害が多発し、復旧・復興事業に関する設計業務や技術支援等に携わってきました(実績:三陸沿岸道路、相馬福島道路、門脇流留線など)。現在では、防災機能の確保、強化が道路の計画、設計上の必須条件となっています。

その他に、既存ストックの有効活用策としてスマートIC設置や道路幅員再配分による自転車通行空間確保(交通分離)等が業務として増加しました(実績:長浜SIC、和歌山南SIC、神戸市自転車ネットワーク整備など)。

駅前広場から交通ターミナルの計画へ

2 JR 奈良駅前広場

交通結節点は、乗継ぎの機能だけでなく、交流の場としての機能、ランドマークとしての機能など様々な役割を担う空間であり、その整備に向けては多種多様なニーズが交錯します。限られた空間の中でこれらのニーズを調整し、具体的な形に落とし込むことは、難題も多いがそれだけにやりがいがあるプロジェクトです。

CFKは多くの駅前広場の計画・設計に携わっています。近年の代表事例としては、古都奈良の玄関口となるJR奈良駅東口駅前広場(写真2)の設計を手掛けました。近年、大都市では限られた空間制約のなか立体的に交通ターミナルを整備する例もみられます。CFKでは、新宿駅南口交通ターミナル(バスタ新宿)の供用に向けた維持管理方策の検討・内部景観の検討(図3)など大規模施設独特の検討にも参画するなど、交通結節点の整備に求められる様々なニーズに取り組んできました。

3 新宿駅南口交通ターミナル バスタ新宿(CIM モデルによる検討例)
3 新宿駅南口交通ターミナル バスタ新宿(現地写真)

鉄道・河川等との立体交差

4 芦屋川アンダーパス(山手幹線)

道を形成する構造物には、橋梁、山岳・シールド・開削トンネル、擁壁、補強土、のり面工など多種多様の構造物が存在します。

道路分野では、これらに加えて鉄道・河川・道路などと交差するアンダーパスについても、庄内新庄線、山手幹線など、数多くの設計実績を有しており、山手幹線では、芦屋川と交差するアンダーパスの設計を担当しました(写真4)。アンダーパスは、車道4車線と片側歩道を有する大断面の箱型函渠で芦屋川河床下に国内でも珍しい鉄樋(てっぴ)工法で施工された。河川は非排水期に半川締切りで施工しましたが、その構造は神戸海洋気象台の開設以来100年以上の観測データから最大降雨量に耐えうる半川締切り断面を模型実験(京都大学防災センター)にて検証していいます。

なお、立体交差部には、車椅子のまま利用できる斜行型エレベータが設置されています。このタイプのバリアフリー対策は珍しく、機会があれば是非一度体感してください。

特殊条件下での山岳トンネル技術への挑戦

5 名塩道路八幡トンネル

CFKは、1981年にNATMによる道路トンネル設計の第1号である「新老ノ坂トンネル詳細設計(日本道路公団)」を受注して以降、山岳トンネルに関する計画・設計から施工・維持管理まで数多くの受注実績を有しています。高速道路網計画の整備に伴い、実績は北海道から九州まで全国に展開し、新名神・新東名高速道路では、様々な設計プロジェクトに参画する機会を得ました。

中でも富士山の裾野に位置する今里第一トンネルは、小土被り、脆弱地山の条件下で、8F建てビルの直下を新東名で唯一の大断面双設トンネルで貫くもので、高度な解析や試験施工を通じてトンネル構造や施工の合理化に取り組みました。また、新東名の三ケ日JCT~御殿場JCTにおける全71トンネルの貴重な施工データを分析する機会を頂き、NEXCOのトンネル設計施工技術の集大成の成果作成にも貢献しました( I TA国際トンネル会議(WTC2013)への論文投稿)。

この他、CFKは、超大断面、超近接施工等の特殊条件下での山岳トンネルの設計にも精力的に取り組んでいます。2015年7月に供用した八幡トンネルでは、高速道路に近接し、上部に神社、坑口部にマンションが存在するという環境条件の中、国内でも事例の少ない上下線トンネル相互離隔約90cmの超近接トンネルで設計を行い、局長表彰の栄誉を得ました(写真5)。

道路技術の明日

道路分野では、道路に関する既存銘柄の受注拡大・強化とともに、新たな業務領域の拡大を展開します。特に、道路の維持管理、防災関連では、首都高速道路をはじめとした主要都市高速道路の大規模更新等への対応を拡大します。

東日本大震災の復興業務として参画した三陸復興道路の技術支援業務(PPP)に代表されるように、これからの道路技術者には道路の調査・計画、設計、維持管理・更新、事業マネジメント等のトータルとしての対応が求められています。また、コンパクトシティ間の道路整備など地方創生を意識した銘柄と新規顧客の開拓、将来の自動運転の需要に応じた道路や交通網の再整備への対応などにも、積極的に取り組んでいきます。


【画像提供】 
1) 阪神高速道路株式会社

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