BIM/CIM活用業務を経験して

CIMモデル(3次元統合モデル)

CIMとの出会い

田村 賢人TAMURA Kento
構造系部門
トンネルグループ

私は、CFKに入社するまでCIM※1という言葉を知りませんでした。
CFKは、CIMが話題になる前から3次元設計に取り組んでおり、国土交通省初のCIM試行業務を受注するなど、土木設計分野のCIMを先導しています。2009年度から、新入社員研修の一環として社内で独自の3次元CAD研修を開催しており、2016年に入社した私も、その年の5月に受講し、そこで初めてCIMに触れました。当時、まだ設計の経験がなかった私は、ソフトの基本的な使い方を学んだものの、CIMに関しては「設計に3次元のCADを使うようになった」と印象を持った程度でした。

トンネル設計とCIM

私が所属するトンネルグループでも、2017年3月に国土交通省が「CIM導入ガイドライン(案)」(以下、「ガイドライン」)を公開する前から設計にCIMを利用しています。2017年には、建設技術公開「EE東北’17」をはじめ、中部、近畿、九州の各地域の建設技術展で「トンネルCIM」技術をPRしました。また、これらの技術を活用した国土交通省業務では、3年連続で表彰の栄誉を得ています。

私が設計に利用されるCIMに触れたのは、新入社員の頃に携わったCIM試行業務でした。トンネル設計の全体像をまだ理解していなかった私は、3次元化されたトンネル工事の施工・仮設備モデル(図1)やトンネル坑口モデル(図2)を見て、施工時の状況やトンネルの完成形をイメージすることができました。その後、担当技術者として参画した2017年度の「横堀トンネル詳細設計業務」で本格的にCIMの“活用”を経験しました。

1 トンネル工事の施工・仮設備モデル(左)とトンネル建設予定位置目安(右)
2 坑口モデル(完成時の走行シミュレーション)(左)とトンネル建設予定位置目安(右)

CIMの試行から実践へ

国道13号横堀トンネル(秋田県湯沢市)は、東北地方整備局管内の山岳トンネル詳細設計では初のガイドラインに基づいたCIM活用業務でした。ガイドラインには、業務の要求事項(リクワイヤメント)については定義されていますが、具体的な実施内容については記載されていないため、すべてCFKから提案しました。例えば、リクワイヤメントの一つである「CIMモデルによる照査の実施」は、橋梁等の設計では配筋の干渉照査のイメージがあります。しかし、トンネルは橋梁ほど配筋が複雑ではないため、効果が薄いです。そこで、トンネル設計における特徴的な「騒音対策工」、「坑門工形式比較」、「地山区分」の各照査にCIMモデルを適用し、その効果を検証しました1)

CIMの活用を経験して、当初イメージしていた、3次元モデルを用いた視覚的なものに限らず、数量算出の効率化、構造物の属性情報の一元化した管理・共有等、多様なものがあることを実感しました。

CIMは、調査・計画設計段階から施工・維持管理段階までの情報を一元化することで最大限効果が発揮されるので、設計に活用した今回の業務だけでは、一定の効果があることを確認したにとどまりました。しかし、施工段階・維持管理段階でも私たちが作成したモデルがさらに多様な目的で利用されることを考えると、CIMの無限の可能性を感じました。

次のステージへ

CIMモデルを活用したトンネル設計の様子

国内の土木分野での本格的なBIM/CIM※2の活用はまだ始まったばかりで課題も多くありますが、国土交通省では2025年を目処に全事業でBIM/CIMを原則適用することを目指すなど、国内でもCIMを用いた設計はスタンダードとなりつつあります。

入社当時、CIMの言葉自体を知らなかった私は、入社5年目の現在、トンネル詳細設計のBIM/CIM活用業務の主担当として業務を遂行しています。今後は、VR、IoT、AI、ビックデータ等のICT活用の視点でBIM/CIMの活かし方を模索し、土木分野にとらわれず、幅広く社会インフラに応用されるICTの時代を先導していきたいと思います。

【注釈】
※1 Construction Information Modeling / Managementの略称。
※2 CIMは国際的にはBIM(Buiding Information Modeling / Management)の一部とされていることから、国土交通省では2018年より「CIM」を「BIM/CIM」表記に変更。
【参考資料】
1) CIMモデルを活用したしトンネル設計、第1回「i-Constructionの推進に関するシンポジウム」講演論文集、2019.7

「CIM」に関連するトピックス

「道路設計」に関連するトピックス

「山岳トンネル設計」に関連するトピックス

RECRUIT

採用情報


私たちと一緒に新しい未来を切り開きましょう。
CFKでは、高い志を持ってチャレンジし続けるあなたを待っています。

採用情報へ 採用情報