中之島通歩行者空間化に伴うデザイン検討・デザイン監理

業務の概要

梶川 遥奈
KAJIKAWA Haruna
計画系部門
交通計画グループ

CFKは、令和2年度に大阪都心の中心部である中之島通の歩行者空間化に伴うデザイン検討‧デザイン監理業務を担当しました。大阪の中心部である中之島の東部地区は、文化・集客ゾーンに位置付けられており、交通安全性と回遊性や都市景観・魅力の向上を図ることが求められていました。

地区の東西を通る中之島通は以下の2点が課題となっていました。
① 駅から各文化施設(中央公会堂、東洋陶磁美術館など)まで歩行者ルートが煩雑であり、スムーズなアクセスの確保が課題
② 歩行者や自転車の無理な横断が発生しており、交通安全の確保が課題

「こども本の森 中之島」の開館により、中之島東部エリアではより広範な世代の来訪者増加が見込まれていたことから歩行者の通行環境の解消に向けた整備として、中之島通(堺筋~中央公会堂前)を車両通行止めとし、沿道施設と一体的かつ多様な活用が可能となる空間として、歩行者空間化整備が行われました(図1)。

CFKは整備にあたって、発注者や学識経験者とともに舗装デザインや案内サインのデザイン検討を行い、デザイン監理を実施しました。

図1 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備範囲
図1 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備範囲

デザイン監理

写真2 舗装施工結果
写真2 舗装施工結果

過年度実施されたデザイン検討会議において、道路設計は実施されていたものの舗装デザインについては基本的な考え方が整理されたことにとどまっており、これの詳細な検討と施工時において、デザインの思想を反映するためのデザイン監理を行うことが本業務の特徴の一つです。

舗装デザインについては、舗装パターンをランダム配置としましたが濃淡による模様が出ず、白御影が一直線にならないように自然なランダム配置ができる配置ルールを学識経験者とともに検討し、サンプル割付図を作成しました。サンプル割付図を基に施工会社へ施工範囲の舗装割付図作成を依頼し、作成された舗装割付図をチェックしました。施工会社には舗装割付図通りに施工可能なような施工手順を確認し、舗装割付図に基づいた施工ができているか現場確認を行いました(写真2)。

また、発注者からは現場での問題事項について随時連絡があり、その対応策について検討を実施しました。現場と綿密に連携し、現場状況を把握するなど、詳細な箇所の判断においても施工会社や施工部署の担当者だけで対応するのではなく、随時、CFKや学識経験者へ連絡があったことによって、対策を検討することができました。

このようにデザイン監理を行ったことでデザイン検討会議のデザイン思想について完成形でも担保され、デザインの質が高い空間整備の実現が可能になったと考えます。これは施工時期に合わせて、施工時のデザイン検討の項目を含んだ業務が発注されていたことや設計部署の担当者が現場での施工状況を常に把握、監理していたきめ細やかな対応のおかげだと考えます。

案内サイン

過年度、新設の案内サイン本体のデザイン検討は実施されていましたが、本業務では案内サインの盤面デザインについて検討を行いました。既存の案内サインは中之島公園内の案内にとどまっていましたが、新設の案内サインでは周辺地域への回遊性向上を促すことが課題となっていました。

そのため、地図の範囲については周辺地域を含む範囲まで広げ、中之島公園周辺の案内施設の記載を増やして盤面デザインを作成しました。さらにデザイン性にも配慮し、サインフレームとベース色を統一した配色としました。また、利用者が地図を見やすいよう、地図を見る方向と地図の方角が合うように、設置向きと地図の向きを合わせて盤面デザインの配置を検討しました。これらの検討に合わせて現地に設置する案内サインの設置向きの変更を行うなど、現場での柔軟な変更対応を行いました(写真3,4)。

写真3 盤面デザイン
写真3 盤面デザイン
写真4 案内サインの設置状況
写真4 案内サインの設置状況

中之島公園の活用方法

図5 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備後の様子
図5 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備後の様子

今回の中之島通(堺筋~中央公会堂前)整備後において、屋外空間の利活用ニーズの可能性は広がり、様々なアクティビティが創出されています。例えば、子供が縄跳びやバトミントンをして遊んでいる様子、保育園児が散歩している様子、結婚式の前撮り撮影などが多くみられるようになっています(図5,写真6)。

写真6 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備後の活用の様子
写真6 中之島通(堺筋~中央公会堂前)の整備後の活用の様子

中之島公園は“中之島東部地区の文化集客エリア”として、水辺・公園、中央公会堂、東洋陶磁美術館、中之島水上劇場等と連携し、市民・観光客が楽しめるさらなる多様なアクティビティの創出が求められています。多様なアクティビティ空間と快適な歩行空間の形成により、地域の回遊性向上、都市の魅力向上、シビックプライドの醸成、地域経済の活性化等、様々な効果が期待されています。

現在、周辺施設、周辺地域とともに中之島公園の活用方法やマネジメント体制について検討しているところです。令和3年11月には、生まれ変わった中之島公園で、大阪の歴史と文化に触れ、ウィズコロナ時代のオープンエリアの憩い空間の形成と、中之島周辺エリアの活性化を推進する取組みとして、新しい公園活用イベント「中之島モダンシーン」が開催されます。

CFKは、このイベント「中之島モダンシーン」の運営を補助しています。

中之島モダンシーン
https://nakanoshima-hiroba.com/

今後の学び

今回の事業を通して、設計時では反映しきれていなかった施工時の問題が分かったことから、今後、図面指示として記載するよう、設計時に気を付けていくとともに施工時における設計者のデザイン監理の重要性を改めて感じました。また、案内サインについても盤面デザインを想定して、設置位置を決定する必要があることを学びました。

CFKは、今後も他の道路空間再編事業に本事業の知見を活かしたいと考えています。

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