新たな都市空間『地下』の 創造に向け

より大規模になった地下構造物

上田 隆
UEDA Takashi
常務取締役

CFKは、50年以上前から共同溝や鉄道アンダーパスなどの地下構造物に関わる業務に携わってきました。そのなかでも最近の約10年に挑戦し続けたのが、都市内でいかにして大規模な地下空間を作り出すことでした。

過密となった都市は、新たな空間を地下に求めた結果、片側2、3車線の自動車専用道路や高規格幹線道路を都市内地下空間に構築するようになりました。これに伴い、地下の代表的な構造形式であるシールドトンネルや開削トンネルは、昔では考えられないほどに大規模となっていきました。たとえば、CFKが携わった都市内の道路シールドトンネルは、直径が10mを超え、国内最大級の都市トンネルです。開削トンネルでは、その部材厚が0.7m、0.8m、大きくても1.0m程度であったものが、最近では1.5m、や2.5mの部材厚が当たり前です。

CFKは、こういった大規模化への変化も含めた様々な状況の変化に、スピード感を持って対応してきました。以下では、大規模なプロジェクトごとに、仕事の転換へとつながっていった過程を紹介します。

首都圏で高い技術力を発揮~中央環状品川線~

1 首都圏での地下構造分野の業務実績

CFKが、首都圏で地下構造物の計画・設計に関する高い技術力を発揮し始めたのが、中央環状品川線の業務でした。

2004年に当時の首都高速道路公団から「トンネル施工法検討業務」を受注し、都市高速道路である中央環状品川線のシールドトンネルを、いかに効率的に構築するか、について検討しました。その成果を評価していただき、首都高速道路に関連する業務は、その後増えていきました。さらに、これだけにとどまらず首都圏のNEXCOや国土交通省の業務が拡大しています(図1)。

2 中央環状品川線 五反田 本線・ランプ接続部(画像提供:鹿島建設株式会社)

都市内の地下道路の特徴は、本線とランプとの接続といった、いわば地下奥深くで空間をつなげ、広げる工事が必要なところです(写真2)。1本のトンネルを掘ればいいというものではありません。この接続部の設計・施工計画は高度な技術を必要とします。それまで夢物語とさえ思えた、シールドトンネルの切り開き工事に対して、解析技術だけでなく、施工手順など実際の施工を考えた設計を行うことができたのが、CFKの強みだったと考えています。

3Dモデル活用の先駆け ~横浜環状北線(子安台換気所)~

3 子安台換気所の3次元モデル

2008年度に首都高速道路株式会社から受注した「高速横浜環状北線子安台換気所修正設計」業務は、3次元モデル活用や、のちのBIM/CIM(Building/ Construction Information Modeling, Management)への取り組みの先駆けとなった業務です。

道路を地下空間に構築するには、換気所を設けなければなりません。道路本線と換気所を一体で構築すると巨大で複雑な形状をした構造物となります。平面曲線と縦断曲線を持つ本線、換気設備、換気ルート、維持管理空間を一か所に配置すると、複雑になるのです。従来の2次元の図面で検討していたものを、3次元モデルを活用して検討(図3)しようと技術提案を行い、受け入れられた初めての業務となりました。

これがきっかけとなり、全社を挙げての3次元技術への取り組みとなります。経営陣の本気度が高く、3次元CADソフトの大量購入、若手全員が3次元CADを扱えるようにする研修など、一気に取り組めたことは、CFKの新たなことに挑戦する風土を象徴する出来事であったと考えています。今では、どの会社にも負けない3次元技術となっています。

新たな発注方式に対応 ~東京外かく環状道路~

新しく様々な発注方式にもフレキシブルに対応しており、CFK地下構造分野の特徴となっています。

2007年度に、大阪市道高速道路淀川左岸線や大阪府道高速大和川線の開削トンネルで、新しい発注方式に対応して、ゼネコンと協働しています。阪神高速道路株式会社からの工事発注ではありますが、設計部分を建設コンサルタントが担当しなければならない仕様となっていました。当時としては非常に珍しいケースでした。

本格的には2010年度、東京外かく環状道路の国土交通省が事業主体となる区間で、デザインビルド方式の工事発注においてスーパーゼネコンと設計業務部分のパートナーとして協働しています。また、NEXCOが事業主体となる区間では、他社の設計を照査するという通常の設計とは異なる業務発注にも対応しています。

以上の業務は、地下構造物の高い設計技術力を必要とするものであり、携わることができたのは、設計技術力を対外的に認めていただいている証だと考えています。

地下空間の創造に向けて

前述した首都高速道路での新設道路の業務実績は、最近の将来ネットワークに関する検討や、ネットワーク有効活用の検討などの仕事に繋がっています。今あるものを活用して新たなものを創ろうという方向に向かっているのです。CFKも、培ってきた地下空間をつくり、つなげ、広げる技術を、新設構造でのみ捉えるのではなく、既設を活用し、さらに2次元的、3次元的な広がりを持った仕事に結び付けていきたいと考えています。

実際に、たとえば各地の主要駅周辺のプロジェクトでは、既存の地下空間を、どのように改築していくか、これに新たな空間を加えて、都市全体をどのように創造するかの議論が始まっています。CFKの地下構造を扱う技術者達は、都市における新たな空間づくりを担っています。

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