シールドトンネルの設計法に関する業務に携わって

1 鉄道シールドトンネル

設計法に関する業務

中里 大樹NAKAZATO Taiju
鉄道系部門
東京鉄道グループ

私はCFKに入社後、鉄道系部門地下鉄(現:東京鉄道)グループへ配属されました。同グループは、鉄道に係る地下構造物の設計業務をはじめ、海外業務や計画業務を行う部署でした。

地下鉄グループへ配属後、私は主に地下構造物の浸水対策や耐震設計を担当していました。日々の業務をこなす中で、構造物の設計を行う上では、設計の指標となる設計標準の存在は、非常に重要であるものと知りました。そんな中、私は機会に恵まれ、シールドトンネルの設計法に関する検討業務を担当することとなりました。

設計標準は、国土交通省監修のもと、鉄道に関する技術の研究機関である、独立行政法人鉄道総合技術研究所が編集しています。同研究所には、過去にCFKの先輩技術者が何人も出向しており、設計標準の作成や改訂に携わっていました。そのため、本業務を担当するにあたっては、緊張感を感じるとともに、貴重な機会へのチャレンジに期待を膨らませていました。

検討業務を担当するにあたって

検討業務を担当することになり、入社後間もないこともあって、私はシールドトンネルの基本的な設計技術・知識の不足を感じました。そのため、シールドトンネルに関する過去の設計資料や文献等を漁り、基礎知識の習得に注力しました。その甲斐あってか、打合せでは少しずつ専門的な議論の内容を理解できるようになっていました。また、検討業務の成果を論文として取りまとめて土木学会全国大会に投稿する機会を得たため、関連する既往の論文にも目を通しました。

検討業務の内容と対応

優秀講演賞の受賞
2 優秀講演賞の受賞 1)

検討業務では大きく分けて2つの検討を実施しました。1つめは、設計法の違いによる比較検討です。現行のシールド設計標準では、仕様的な設計法である許容応力度設計法が用いられているのに対し、今後は部分安全係数法が取り入れられている限界状態設計法が主流となります。そこで、設計法が異なることで結果にどの程度の影響を及ぼすかを検討しました。

2つめは、耐震設計の試設計です。シールドトンネルはこれまで耐震設計を実施しないことが一般的でした。しかし、今後想定される大地震に対応していかなければなりません。そこで、様々な条件下でのケーススタディーを行いました。

本業務は3年間継続されましたが、私は主に設計計算を担当していました。設計計算の経験を積んでいくことで、計算結果のおおよその推測と、結果に対する技術的な評価が可能となり、自身の技術力の向上を感じるようになりました。また、3年間の業務において毎年、検討成果を論文投稿する機会があり、3年目の成果を発表した「土木学会全国大会 第74回学術講演会」では、優秀講演賞を受賞することができました。これは、自身の技術者としての自信にも繋がりました。

今後の展望

シールドトンネルの設計法に関する検討業務を担当し、シールドトンネルの設計技術は、設計法ごとの各種パラメータの考え方や地震時応答の不明確さ等、まだまだ発展の余地があると感じました。今後、シールドトンネルの需要はさらに伸びてくると考えられます。そのため、今後のシールドトンネルの設計業務では、本業務で得た経験を活かし、私が主体となって業務を進めていきたいと思います。

また、私は2019年の秋に鉄道会社へ出向を命じられ、現在は、出向先にて鉄道に係る計画・設計業務に従事しています。本検討で得た経験を出向先での業務対応と人脈形成に役立てていきたいと考えています。


【参考資料】
1)中里大樹・坂田智基・室谷耕輔・津野究・藤田輝一・木下果穂:鉄道シールドトンネルの耐震設計における継手モデル化手法に関する一考察、土木学会年次学術講演会、2019

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