Osaka Metro と CFK 過去から未来へ、良きパートナーとして〔2/3〕

2.維持管理分野への取り組み

5 2006年11月調査実施状況 各種調査により構造物の現状を把握

CFKは、1987年頃からOsaka Metro構造物の維持管理に携わってきました。初期の頃は、大部分の地下トンネル内部の性状や鉄筋の状態把握を数年間にわたりCFKが実施しました。近年は、交差道路の交通規制が必要な高架橋の点検、鋼構造物の疲労亀裂調査、PC桁橋のPCグラウト調査の試行、現況発生応力の測定、振動特性の検討等を行っています。構造物の現状を正確に把握することで、列車の安全運行に貢献しています(写真5)。

(1)交通規制を伴う高架橋の点検

6 交差点規制に伴う点検

高架構造物の点検では、交差道路の交通規制が必要です。交通量の多い交差点では、夜間に交通規制を実施し、高所作業車を用いて近接目視点検を実施します。これらの点検により損傷を軽微な段階で早期に発見し、構造物の安全性を脅かすような重大損傷の発生を未然に防いでいます(写真6)。

(2)鋼構造物の疲労亀裂調査

7 塗膜割れの目視点検

列車の繰り返し通行による応力振幅により鋼部材に発生する亀裂は、微細であっても、列車の繰り返し通行により大きな亀裂に進展し、構造物の安全を脅かします。一方で、亀裂を直接目視のみで発見することは難しいです。そこで、近接目視点検により塗膜面の塗膜割れを発見し、亀裂を確認できる非破壊検査を実施しました。亀裂を微細な段階で発見することで、表面を僅かに切削する等の軽微な補修での修復が可能であり、重大損傷への進展を未然に防いでいます(写真7)。

(3)PC桁橋のPCグラウト調査

8 インパクトエコー法による非破壊検査

PC桁橋は、PC鋼材により圧縮力が加えられた構造です。PC鋼材周囲にグラウトが適切に注入されていない場合、PC鋼材が腐食し、構造物の安全を脅かします。一方で、コンクリートの桁内に埋め込まれているPC鋼材は、直接目視ができません。そこで、非破壊検査であるインパクトエコー法を試行しました(写真8)。インパクトエコー法とは、弾性波を利用して内部欠損位置、範囲を明らかにする方法であり、既設構造物に大きなダメージを与えることなく調査することが出来ます。

(4)現況発生応力の測定

9 ひずみセンサー設置による自動計測

近接目視点検結果等により、より詳細な構造物の状態の把握が必要と判断された場合、発生応力を測定することがあります。応力測定は、測定したい部分にひずみセンサーを設置し、12時間程度自動計測します。計測結果から、残存疲労寿命等を算定し、維持管理の基礎資料としての有効性を検討しました。(写真9)。

(5)振動特性の把握

10 振動特性のモード図(解析結果)

高架部は、列車の通行により振動します。特に、桁の剛性が低い鋼桁橋は、振動が大きく、疲労亀裂等の発生原因となります。業務では、桁の各所に加速度センサーを設置して計測することで、振動特性の把握を試みました(図10)。

(6)補修への対応

近接目視点検、詳細調査及び各種測定結果から、重大な損傷に進展する前に、補修が必要となる軽微な損傷を明らかにしました。この点検・調査結果は、補修設計・工事の基礎資料となっており、Osaka Metro構造物の維持管理に貢献しています。緊急対応が必要な損傷の発見時には、軽微な補修工事を実施したこともあり、臨機応変に迅速な対応を行っています。

このようにCFKでは、様々な技術を用いてOsaka Metro構造物の維持管理に携わっています。今後は、ドローンやロボットのような新技術用いた効率的な点検、人の経験に頼らない定量的に把握できる検査技術を用いた点検が求められています。CFKでは、そのような技術を積極的に導入し、これからもOsaka Metro構造物の維持管理に貢献していきます。

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