人の動きを計画する

建設途中の新規路線(筆者撮影)

「まちづくり」と鉄道計画

畔取 良典KUROTORI Yoshinori
取締役
鉄道系部門
ゼネラルマネージャー

私は、鉄道は「まちづくり」の重要な要素の一つと思っています。「まちづくり」と聞けば、都市や地域の空間創造というイメージを持つ人が多いでしょう。鉄道はピンポイントでは存在しないので、ひとたび建設されると、ある地域と別の地域が接続され移動可能となり、それにあわせて人の流れが変わり、周辺の人々の生活が変わります。加えて、社会経済活動に与える影響も大きいと考えられます。

CFKの銘柄のひとつである鉄道(あるいは軌道)計画分野では、新幹線(大都市と大都市)、在来鉄道(都市と郊外)、地下鉄(主に都市域)、新交通・モノレールやLRT(主に都市域)などがあり、対象とする区間は、国の骨格となる広範囲レベルから、都市域レベル、郊外の拠点レベルなど様々なレベルがあります。

また、鉄道は交通インフラの中で収支採算性を求められるものであり、主に、輸送人員、建設コスト、運営コストなどを総合的に勘案し計画されます。したがって、輸送人員を計画することは人の動き方を想定し計画されることであり、「まち」の中の人の動き、「まち」と「まち」の人の動きを捉えるインフラ計画と言え、広義の「まちづくり」をしていると言えるでしょう。

路線計画は楽しい

筆者が訪問した海外業務での写真(筆者撮影)

インフラ整備が成熟している日本では、何もないところから鉄道を計画することは近年まれであり、最近では、整備済みの駅と駅(あるいは拠点)を結ぶ新しい鉄道ネットワークを形成する路線計画が多く存在します。一方で、東アジアなどに代表される海外業務では、まったく鉄道ネットワークが整備されていない地域もあり、そのような地域で鉄道計画をすることはいわゆる「真っ白な図面」に対して計画していくことになります。

私自身、とある国でこのような全く都市鉄道計画のない状態の計画に関与したことがありますが、これは非常に楽しいものでした。当然ながら鉄道計画の上位には国レベルの国づくり計画、都市レベルのまちづくり計画があり、それらとの整合を図って計画するのでありますが、業務にあたっては、実際に自分の目でその「まち」を見て(現地調査)、人の流れや他の交通(自動車やバス)の状況を把握しながら「まち」の雰囲気を理解し、需要予測結果を見ながら計画しました。加えて、鉄道計画では選定するシステムによって平面線形や縦断線形に制約を受けるので、「まち」の形を見ながら計画する必要にも迫られます。輸送システム、駅の大きさや配置、地形を考慮した平面線形・縦断線形など、考えることは山のようにあります。これらのことをすべて成立させ、将来整備されるであろう鉄道を想像し、業務を遂行する。このようなことはあまり経験できることではなく、自身の誇りにもなりました。後に、実際に建設され、それを利用するときには、この上ない喜びを感じることができます。このような楽しみや喜びは近年の国内での鉄道計画でも同じです。現在建設が進められている、大阪・関西万博アクセス路線である北港テクノポート線や、なにわ筋線のプロジェクトは、CFKが計画当初から関与しています。

鉄道計画の段階と必要な知識

鉄道路線計画には、様々な段階があり、建設可能性の検討(ルート、導入空間の確認)や、需要予測と収支採算性の検討(輸送システム選定や整備スキーム検討を含む)などがその代表であり、路線の全体計画はこれらの検討で実施することになります。その他の計画段階の検討には、列車の運行計画、駅や折り返しなどの配線計画(ピンポイントでの詳細な検討)、駅規模の計画(輸送人員に応じた駅設備計画)、車庫や検車場計画などがあります。運行計画には列車の加減速性能や停車時間の考え方、駅の配線や折り返し配線検討では線形知識の他、軌道(一般にはレールとその下部構造)の知識も必要です。駅規模の計画では一般の人が目にする改札機や券売機の配置、利用者の昇降設備や通路・出入口の計画、列車走行のための諸設備(専用電力供給や信号システムなど)などの建築や電気、機械などの知識が必要となります。日本の鉄道システムは技術の複合体をなしているので、これらをすべて兼ね備えたスーパー技術者はあまり存在せず、一般には鉄道事業者や専門企業と協働しながら進めることになります。私自身、土木系の技術者でありますが、このような鉄道特有の技術に触れるのは刺激になるとともに、自身の技術力向上にも繋がります。このような経験は、ますます鉄道が身近なものに感じてきます。

総合建設コンサルタントであるCFKの鉄道の計画・設計での強み

日本の鉄道整備には様々なプロセスがあります。鉄道を計画する段階は上述のとおりですが、計画が実現化するまでには、環境負荷低減を目的とした環境アセスメント、道路空間や河川空間との整合や管理者との協議、建設のための基礎的調査系資料(測量や地盤情報)など、段階に応じて追加検討や調査を行っていく必要があります。これらのプロセスに応じて、まちづくり計画の技術者、鉄道建設を熟知した設計技術者の他、道路や河川の設計技術者、環境系技術者、調査系技術者などが関与することになり、総合コンサルタントのCFKにはその技術者が揃っています。各検討段階では、濃淡があるものの社内でいつでも相談できることは効率化や成果品質向上にもつながり、発注者にも喜ばれるところであると考えています。

目指せ、Rail-Way Engineer!

私は鉄道の計画や建設に関わって30年以上が経過し、自身が計画に関与し建設された路線も複数あります。設計をやり始めて自信がついたころは施工段階に現場見学をしても土木設計や技術のことばかり考えていました。鉄道計画に関与するようになり、技術分野が土木だけでは足りなくなりました。乗ったことのない鉄道、新交通システムやモノレールの駅に行ったときや、初めて訪問する路線沿いを歩くとき、周りをキョロキョロする挙動不審の状態で、各種設備を眺めるようになるとともに、必要に応じて写真撮影もするようになりました。直近では維持管理(土木構造物以外も含む)やCO2削減(省エネルギー)、旅客以外の輸送問題(例えば、物流活用)などに触れるようになりました。もはや土木分野だけでは足りません。Civil- Engineer(土木技術者)から発展したRail-Way Engineer(鉄道技術者)への転換が求められていると感じています。

「交通施設計画」に関連するトピックス

「新幹線」に関連するトピックス

「都市鉄道」に関連するトピックス

「都市の地下鉄」に関連するトピックス

「新交通・LRT」に関連するトピックス

「鉄道施設の改良・改造」に関連するトピックス

「駅」に関連するトピックス

RECRUIT

採用情報


私たちと一緒に新しい未来を切り開きましょう。
CFKでは、高い志を持ってチャレンジし続けるあなたを待っています。

採用情報へ 採用情報