どんな経験も未来の自分の糧になる
私は、学生時代から「いつかどこかで役に立つはず」との想いを胸に、何事も好奇心の赴くままに取り組んできました。それは、これまでバラバラに存在していた経験や関心がふとした瞬間に結びつき、過去の自分が想像していなかった展開に導かれることを度々体験してきたからです。
前職での経験も含め、年々、他部署の方との関わりや、自身が主体的にプロジェクトを進めることも多くなってきましたが、特に2023年度は様々な人との共創により新たな価値が生み出された年であったように思います。そこで、その経験を基に私が考えた「価値創造」についてお伝えします。
価値創造のタネは経験の深掘りから
CFKが独自に実施している研修の1つに、「マネジメント分野の業務開発に向けた集合研修」があります。これは、近年のインフラ整備への民間活力の導入による業務の発注形態の変化や、建設コンサルタントの役割の多様化を受け、インフラの整備から利活用、維持管理までをトータルでマネジメントできる技術者を育成するために、2022年度から始まりました。この研修には、マネジメント分野のプロジェクトに携わるメンバーが参加し、情報共有や新たなビジネスモデルの構築に向けた検討を行っています(写真1)。また業務から離れた場所に身を置くことで、より議論に集中できるだけでなく、チームビルディングに大切な「余白時間」を生み出すことができるのも重要なポイントです(写真2~4)。

(2022年度:タカオネ)

(2023年度:昭和の森フォレストビレッジ)


(2024年度:名田忠山荘)
私のグループでは、2021年度から受注している公園利活用業務を題材とし、公園での市民活動を通じた地域コミュニティの醸成や地域強靭化に向け、CFKが今後どのように関わっていくべきか議論していました。それに加え、2023年度の受注業務では、新たにCFKもプレーヤーとして公園活用プログラムを開催し、効果検証を行うこととなっていたものの、プログラムのターゲットや企画をどうするか決めかねているときでもありました。
そのとき出会ったのが『業務推進本部の高巣さん』です。高巣さんは、2023年度に中途入社され、九州支社に所属しながら、これまでの様々な経験を活かして全国を飛び回って活動されています。この集合研修にはアドバイザーとして参加されていたため、上記の悩みを相談したところ、高巣さんからポロッと一言、「私もプレーヤーとして活動していました」。深掘りしてよくよく聞いてみると、偶然にも私が大学で研究対象としていた山口市の子育て支援施設で未就園児対象のプログラムを実施した経験があったことを知りました。ここで一気に親近感と好奇心を抱いた私は、プレーヤーとしての協力を依頼し、業務遂行のための強力なサポーターを得ることができたのでした。(2024.8.8更新)
挑戦を楽しめるチームづくり
高巣さんとの出会いからほどなくして、具体的な公園活用プログラムの企画を行うこととなりました。CFK 主催プログラムでは、区役所や地域との連携に加え、地元企業による地域貢献のあり方の検証も目的とし、計画系以外の部署にも協力を仰ぐこととなりました。その際も、高巣さんの様々な部署と関わる機会の多い営業職ならではの人脈・交渉術を活かして『地盤・防災グループの奥野さん』『トンネルグループの栗山さん』と繋いでいただきました。
当初、奥野さんへの「泥だんごづくり」、栗山さんへの「ミニ土木構造物講座」といった簡単な依頼から始まりましたが、奥野さんや栗山さんからの声掛けにより、環境・防災系部門と構造系部門の若手社員も加わり、プロジェクトチームが編成されました。そのうち、構造系部門の橋梁・長寿命化グループからは、新たな試みとして人が乗ることのできるアーチ橋製作も実施いただけることとなりました。また、奥野さんからは別業務で関わりのあった『保全再生グループの岩谷さん』を紹介いただきました。岩谷さんは派遣社員としてCFKで勤務する傍ら、「チョークアート講師」としても活動されている方であったため、12月にクリスマスにちなんだ作品制作を担当いただくこととなりました。

このように様々な検討・試作を繰り返しながら、11~12月にプログラムを開催しました。当日は、延べ100名以上の方に参加いただき、様々なコンテンツを楽しんでもらいながらCFKという会社を地域に知ってもらい、社員もまた地域を知る機会となりました(写真5~7)。これは、各メンバーが公園でのプログラム開催に価値を見出し、業務で培った知識や経験を活かして、地域のために何ができるのかを考えながら楽しく取り組んでいただけたからだと思っています。それには、上司の理解や、メンバー自身の想いがあってこそだと感じています。これを機に、分野の異なる社員が気軽に交流し、他分野の技術・知識に触れながら社内での円滑なコミュニティづくりに展開することを期待しています。
発注者や社内メンバーとの密な対話による新たな業務への展開
もう一つ、道路グループとの連携により、インフラの設計から住民の愛着形成や地域間交流を図るイベントに発展した業務を紹介します。
道路第一グループでは、姫路市の県道広畑青山線バイパスの整備にあたり、1992年度から設計業務に携わっています。その中で、2024年度に鉄道交差部が概成することを受け、発注者から「地域間交流や、この場所に愛着を持ってもらうために概成イベントを実施したい」との要望が挙がりました。通常、道路やトンネル等の開通式は施工業者が関わるため、建設コンサルタントとして式典に関わることはほとんどありません。しかし今回は、①業務途中での概成イベントであること、②発注者と『道路第一グループの山本宣永さん』が日頃から密にコミュニケーションをとって良好な関係性を築いていたこと、③私の所属する『地域整備グループの岡田さん』も関連業務で既に発注者と顔見知りだったこと、④山本さんと岡田さんが気軽に相談し合える間柄だったこと、⑤私自身が公園利活用業務で企画内容の検討や住民との調整を行った経験があったこと、といった様々な条件が重なり、追加業務として携わることとなりました。地域の方の記憶に残るイベントとすべく、私はコーディネーターとして発注者・自治会・地元中学校・施工業者等と協議を重ね、地域や事業に対する想いを汲み取りながらイベントの企画を行いました(写真8~11)。



様々な方の想いが詰まったイベントは、快晴の下、5/26に無事開催されました。当日は、周辺住民の方を中心に1,000人以上の方にご来場いただき、参加者からは「この地域に生まれてよかった」という声もいただくことができました(写真12~15)。このように、実際にその場所で暮らす方々の声を直接聞いたり、笑顔を見られたりするのも、この仕事をやっていてよかったと感じる瞬間です。(2024.5.31更新)


総合建設コンサルタントという仕事
今後、より良い社会をつくるには行政・企業・住民の枠を超えた共創がより重要になると考えています。その中で、「総合建設コンサルタント」として人々の安全で安心な暮らしを支えるために、対話を通じて様々な経験や想いを紡ぎながら、新たな価値に出会えることを楽しみに、日々取り組んでいこうと思います。

山本 優里
YAMAMOTO Yuri
計画系部門
地域整備グループ
サブリーダー

特集「価値創造」
CFKの35歳以下社員を対象にこだわりや価値観についてヒアリングし、その声をたどりながら執筆メンバーで座談会を実施しました。それぞれの考えや価値観、目指す姿について語り合いました。
若手座談会:価値観が違う? そこから芽吹く新たな価値